ヒューマンドラマ

星の王子 ニューヨークへ行くのネタバレ感想と考察 この映画はリサを中心に回っている

こんにちはカメレオンです。
今回は1988年のエディ・マーフィ主演のコメディ映画、星の王子ニューヨークへ行くを観ました。
アフリカのザムンダ王国の王子が世話係をひとりだけ連れて花嫁探しにニューヨークへ行く話。
全編通してニコニコ楽しめる最高の映画でした。

エディ・マーフィはひとり4役でそれぞれ完璧な扮装

1988年のかなり古い映画ですがこの頃はエディ・マーフィ全盛期。
48時間、大逆転、ビバリーヒルズ・コップなどに出演し得意のマシンガントークを炸裂してきました。
そして今回の映画ではアフリカのザムンダという架空の王国の王子を演じます。
この王子は真面目な性格でこれまでエディ・マーフィが演じてきた役とは正反対のキャラクターです。
この真面目さに我慢できなくなった(?)エディ・マーフィは様々なキャラクターに扮装して度々色んなシーンで登場してきます。
しかも初見ではとても気づかないレベルのクオリティで扮装してます。
最後のクレジットで判明しますが王子含めて4役をこなしてます。

さすがエディ・マーフィ。見た目だけでも別人だけど、動きや声なんかもそれぞれ別人格を演じきってます。
凝りに凝ったメイクで白人まで演じてますよ。

ヘビ
ヘビ

ここまで完全に別人に化けるなら、最初からそれぞれ違う人をキャスティングしてもよかったんじゃないかと思ってしまうが。

カメレオン
カメレオン

それくらい見事だよね。そう思わせることが狙いなのかもしれない。

ヘビ
ヘビ

確かに。クレジット見たあとにもう一回見直して確認したくなる。というか実際したし!

そしてアーセニオ・ホールが演じる王子の世話係のセミ。
実はこの人も4役をこなしています。

どうなってるんだこの映画!
こんな悪ふざけをクソ真面目にやって高いクオリティを保てるなんて!

ヘビ
ヘビ

ひとりだけ明らかに女装したセミがいるように見えますけど・・・。

カメレオン
カメレオン

気のせいではないです。

エディ・マーフィが白人社会を痛烈に皮肉る

映画から少し外れるけどエディ・マーフィの扮装といえばサタデー・ナイト・ライブを思い出す。
最も印象深いのはエディが白人世界では何が行われているのか白人に扮装して確認しに行くというかなり攻めた内容のコントだった。

コントの内容は、
まず店に入り新聞を手に取りお金を払おうとすると、白人の店員が、
「お代は入りません。持って行ってください。」と。
白人に扮するエディは新聞を手に取り後ずさりしながら立ち去りぼんやりと理解しはじめる。

白人はお互いにタダで物を与えあっているのでは。

そこで白人エディは思い切った行動に出る。
銀行から無担保で金を借りてみよう。

最初に対応してくれたのは黒人の男性。
対応した黒人男性はエディに対し「無担保でしかも身分証明証も提示せずに500万ドルもの大金を借りたいなんて無理です」と、きわめて真っ当な返事をしていると、白人男性が現れエディの対応は自分が引き継ぐので休憩でも取りなさいと言って黒人男性を追い払う。

白人男性「際どいとこでろしたな」

危なく黒人男性に追い返されそうになったエディに微笑みかける白人男性。そしてエディに「お金は好きなだけ持って行ってください。返したいときに返せばいいし、なんなら全く返さなくてもいいんです。」と言いながら机に札束を並べ始める。
エディも「全く馬鹿なニグロだよ」とお互いに笑いながら札束を手にする。

ヘビ
ヘビ

すごいコントだねこれ。すごく面白いけどすごく不安になる。皮肉というか人種差別がとんでもないレベルだけど大丈夫なのこれ?

カメレオン
カメレオン

今まで見たコントの中で最高だと思う。エディ・マーフィが黒人だからこそできる内容だよね。
このコントが大丈夫かどうか、当時どんな反響があったかわからないけど、最初見たときは息が止まるほど笑ったw

この映画はリサを中心に回っている

エディ・マーフィが演じるアキームの恋人役のリサ。彼女には最初、別の恋人がいた。
最初の恋人の名前はダリル。整髪料のソウルグローを手がける会社の御曹司だが登場するなり感じ悪さ爆発で早くも観客の心を一気に引き離す。
そしてアキームはリサが出てきた瞬間に心を奪われた表情を見せるなど実にわかりやすい展開。
この辺りの心理描写をサクッと飛ばして主題をリサの気持ちの移り変わりに絞り込んでいる。
心理描写をリサの心を中心に描いてその他の複雑さを排除した上でコメディ成分を強めにしたバランスは最高だった。
実際この映画はリサを中心に回っている。
成長や変化はリサだけのもので、その他の登場人物はリサに影響を与えるためだけの役割でしかなかった。

ヘビ
ヘビ

リサは本当にいい娘で、ダリルと付き合ってたのもお父さんの期待に応えるためだったとはね。

カメレオン
カメレオン

ヘビ君は本当に素直な性格だね。そんなの女が次の男に乗り換えるための方便に決まってんじゃん。

ヘビ
ヘビ

相変わらずひねた見方をするね。友だち少ない人ってみんなそうなの?

カメレオン
カメレオン

リサの家は裕福だから金には困ってないよね。なのにダリルと付き合うのは家族を喜ばせるため?そう言う側面も多少あったかもしれないけど、アキームに対して「ダリルと付き合ってるのは家族を喜ばせるためなの」って説明はズルくない?

カメレオン
カメレオン

リサ自身に余裕があるからアキームって選択肢も出てきたわけで、リサが貧乏な家の娘ならアキームなど一顧だにしないはずだよ。

ヘビ
ヘビ

カメレオンはリサが嫌いなの?

カメレオン
カメレオン

大好きです。

リサは自分になんの相談もなく父親と勝手に婚約を決めたダリルに愛想を尽かした。
そして誠実なアキームに次第に惹かれていく。

ヘビ
ヘビ

せっかく二人の仲がうまく行ってたのに、王様がリサに酷いことを言ってリサを傷つけたんだ。いくらカメレオンでもこれは許せないよね。

カメレオン
カメレオン

単なるアフリカの留学生で山羊飼いのアキームだった時、リサの立場はアキームより上だった。「貧乏を恥じないでアキーム」なんて言ってたのに実は王子様だった。
完全にマウントを取られたわけだ。

ヘビ
ヘビ

また始まった。あんたの心は相当病んでると思うよ。
じゃあリサはマウントを取られたからあんなに怒ってたわけ?嘘を付かれたから怒ってたんじゃないの?

カメレオン
カメレオン

リサは自立した女なんだ。だから自分でコントールできないことを嫌がる。山羊飼いや王子とか身分の違いでマウントを取られたから怒ったわけじゃなくて、ダリルの時もそうだけど、自分に相談もなくコトを進められたのを嫌がってるんだ。
今回の件も自分抜きに外野が一気に盛り上がって嫌気がさしたんだ。アキームと二人で相談して考えなさいってことになっていたらリサは違った反応をしてたと思うよ。

ヘビ
ヘビ

嘘を付かれていたことに対しても怒らなかったってこと?

カメレオン
カメレオン

完全に怒ってたよねw
でも地下鉄でアキームと話して、あの時はそのまま別れちゃったけど、その後リサは相手の立場も考えて嘘も許した。自分の気持ちにも正直になれた。そしてラストシーンに繋がるわけだ。この映画の主題、リサが成長した証でもある。

ハッピーエンドはアキームに向けたサプライズ

リサに振られて失意の中アキームは帰国して結婚式を迎える。
だがちょっと待ってほしい。
帰国の際、車の中での王と王妃の会話を思い出してほしい。

会話は王妃がアキームがかわいそうだと言うところから始まる。
王は娘が断ったんだと譲らない。
王妃はあなたが彼女にひどいことを言ったからと。
王も負けじと娘が承知しても我が国の伝統に反すると言い出す。
そして、

王妃「馬鹿げた伝統だわ」
王「変えろと?」
王妃「あなた国王でしょ?」

これ以上わかりやすいフラグがかつてあっただろうか。
この会話のあと観客の期待も一気に高まり結婚式を迎える。
そして結婚式のハッピーエンドは観客に向けてではなくアキームに向けたサプライズであった。
観客は王と王妃の会話の意味をしっかりと理解している。

ゆっくりとバージンロードを歩いてくる花嫁に背を向けて待つアキームに対し「大丈夫だよ!」と思わず声をかけたくなるようなベタなシチュエーション。
観客はアキームの驚く姿と喜ぶ顔が見たくて待ちきれないんだ。

ヘビ
ヘビ

いや〜最後の最後までニコニコ楽しめる映画だったね。

カメレオン
カメレオン

最後の最後に二人が結ばれるみたいな話に弱くて、実はこれだけで思わず涙腺が緩むんだ…。

ヘビ
ヘビ

爬虫類のくせに意外と涙もろいんだね。

カメレオン
カメレオン

じゃあ最後にひとこと。
車の中での王と王妃の会話。あれだけかなり異質だったね。いい意味で。
いきなり夫婦の会話が始まるんだもん。
子を持った親の会話。
最後は国王としてではなく親としてひとりの人間としてアキームに接することができた。

ヘビ
ヘビ

アキームが最初に望んだことだったね。


あくまでも個人の感想です。諸説あります。
映画って本当にいいもんですね。


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