やあヘビだよ。今回は2011年のスティーブン・ソダーバーグ監督パンデミックスリラー映画「コンテイジョン」の感想。
この映画は当時も観たんだけど今回観てみたら随分当時とは違う印象を受けたんだ。
香港から帰国したベスは風邪のような症状から三日後に脳炎を発症して死んでしまう。それを始まりにどんどん感染者は増えていく。
この脳炎を起こすウイルスは未知のものだと判明して “MEV-1” と名づけられる。事態の収束にむけてCDCやWHOなどの機関が動き出す。
そんな映画だと思ってたんだけど今回もう一度観てみるとネットで影響力をもつフリー記者をえらいバカにした演出になっていることに気づいたんだ。
2011年といえばiPhoneもすでにあったしFacebookやTwitterもあったんだけど2019年現在と比べればネットが軽蔑されていたのかなと考えるきっかけになったのでそのへんも話してみようと思う。

未知のウイルスっていうとすごいSF臭がするけど新種って言えばいいのかな新型だとすでにあるウイルスの新型になっちゃうだろうし

最終的にブタから感染してたし症状とか脳炎もインフルエンザぽい感じはしたから未知の新型ウイルスってのはどうだ

それすごいメトロイド臭がする
事態の収束に命を懸ける博士たちと体制の陰謀を暴こうとする記者と混乱する一般市民のストーリー

この映画は未知のウイルスがパンデミックに至って収束するまでの様子を
- 一般市民
- CDC
- WHO
- フリー記者
の4つのストーリーが並行して進んでいく構成になっている。
そしてそれぞれのストーリーの主役が豪華な役者たちが演じているんだ。
一般市民 (エムホフ家) のストーリー

ベス・エムホフ: (グウィネス・パルトロウ)
ミッチ・エムホフ: (マット・デイモン)
アルダーソン社の役員であるベス・エムホフは香港の出張からの帰りに浮気相手と電話していると咳がでたりしていた。ミネソタの自宅に帰っても風邪のような症状は治る事なく3日後に激しい痙攣を起こして救急搬送されるけど病院であっけなく死亡してしまう。
グウィネス・パルトロウが映画序盤で死んだ、、、
まさかこのクラスの女優がいきなり死ぬとはビックリだったけど後に監視カメラからの再現というか回想シーンで出てくるんだね。ただのザコ死じゃなくてちょっと安心。
病院で妻を失ったミッチにベビーシッターから電話があって急いで自宅に戻ると風邪をひいていたと思っていた幼い息子のクラークも死亡していた。
エムホフ家は複雑な家庭でベスとミッチは再婚でクラークはベスの連れ子。ジョリーはミッチの連れ子。
ジョリーは旅行のついでに本当のお母さんのいるウィスコンシン州によっていて感染を免れていた。
感染の疑いのあるミッチを一時的に隔離していたCDCは感染経路の調査のためにミッチに聞き取りをしていたときにベスが香港出張のはずがシカゴによって不倫していた事がわかってしまう。
不倫相手はミッチの前に交際していた事は知っていたジョン・ニールという男。ということは一度や二度じゃないはずですねえ、、、
まさかこんな感じで不倫を知らされてしまうとは。またマット・デイモンがこんな苦悩役がまあ似合う事。
ミッチはジョリーを心配するあまりジョリーの彼氏のアンドリューを遠ざけるけどアンドリューが嫌いなわけじゃなくジョリーも困惑はするんだけど納得しようとしてる感じでいい親子だなあと感じた。実際アンドリューのワクチン接種が済むとミッチはアンドリューを家に招いてたしね。

ナチュラルに不倫をバラされるミッチかわいそうw

なんかマット・デイモン太ってるし

マット・デイモンってどんな役でもそつなくこなすけどやっぱりジェイソン・ボーンのイメージが強すぎるからちょっと太っただけで太ってるなあって感じがする。全然「インターステラー」ほど太ってないんだけどねw

あれはビビったねすごいデブで誰かと思ったw
今回は髪もちょっと伸びただけですごい伸びてる感じがするね。やっぱりジェイソン・ボーン基準になっちゃってるのかな

向かいの家でライフルを手に入れたとたん覚醒したかと思ったw

今回は一般市民のはずなのに普通に銃を扱えるように見えちゃうから困ったもんだ
CDC エリス・チーヴァー博士のストーリー

エリス・チーヴァー博士: (ローレンス・フィッシュバーン)
CDCのエリス・チーヴァー博士は感染経路の調査と隔離施設を確保するためにエリン・ミアーズ博士をミネソタへと送り込む。
そして アリー・ヘクストール博士にはワクチン開発を急がせる。培養が困難な未知のウイルスのせいでワクチンの開発は困難だった。
CDCで指揮をとるチーヴァー博士。あんな地位にいながらこの人も人情の人。
大事な人に機密情報をもらしてしまうけど観てる人からすれば愛すべきキャラだよね。
部下がウイルスに感染したら規律とか関係なく連れ戻そうとするし。
自分のワクチンを掃除のおじさんの子供にあげちゃうし。

チーヴァーが電話で恋人に機密情報を漏らすシーンで掃除のおじさんロジャーに聞かれるシーンを最初みたときロジャーが怒った顔に見えたからわけがわからなかた

ふむふむ

チーヴァー
『今の話を聞いてたか? (聞かなかったことにできるか?) 』
ロジャー
『 誰にも大切な人間はいる誰だってそうだ (俺にだって助けたい人がいるから聞かなかった事にすることはできない) 』
って受け取っちゃってさ

なるほどそれだと後々わけわからなくなるな

あとあとわかったけどチーヴァーが恋人に
『すぐにアトランタに来い 』
って言っててまさにCDCがアトランタなんだからロジャーと息子もここにいれば安全って事なんだよね
ロジャーはそんなに遠くから出勤してないだろうし

まったくロジャーのやつややこしい顔しやがって
チーヴァー
『 今の話を聞いてたか? (聞かなかったことにしてくれるか?) 』
ロジャー
『 誰にも大切な人間はいる誰だってそうだ (先生は立派な人だって俺は知ってる。俺だって同じ立場ならそうしてた。誰にも言わねえです旦那様) 』
って事だったんだね

なんで最後吹き替えの奴隷みたいになってんだよw

それで黙っててくれたお礼にロジャーの息子にワクチンを譲ったのかな

すごくよく受け取ればロジャーが発達障害の息子を大事にしてるから自分のワクチンをくれてやったともとれるね
チーヴァーが人情で規律を破るトラブルメーカーっぽい感じがするからいい意味で
CDC エリン・ミアーズ博士のストーリー

エリン・ミアーズ博士: (ケイト・ウィンスレット)
とにかくみんな頑張る危険も顧みず頑張る。
ミアーズ博士が登場したときの安心感はすごい。しゃべるまえからにじみ出る安心感。
この人が出てきたという事は事態は丸く収まるはずだ。
からのミアーズ博士死亡、、、
この映画はグウィネス・パルトロウどころかケイト・ウィンスレットまで殺してしまった。
ほとんどの登場人物が聖人のように事態収拾のために貢献するんだけどこの人は特に死んでほしくなかったなあ。
感染したアルダーソン社のバーンズという男を迎えに行くときに防護服着ろよ危ないと思ったけど普通に感染しちゃったね。
でも感染することによって何か進展がある感じの人物だと思ったのにまさかそのまま死ぬとは思いもしなかった。
死ぬ直前のシーンで隣の寒い寒い言ってた患者に自分のダウンコートを差し出そうとするシーンはミアーズ博士の偽りのないやさしさ、献身、事態の収拾にかける想いなんかが感じられた。でももうダウンコートをとなりの人に渡すことができないほど消耗してたね。泣くこれ。

ミネソタ保険局の人がひどく無能な演出すぎたな

媒介物ってなに?とか言い出してさすがにとは思ったw

短い中で地元の無能に足を引っ張られる事を伝えるシーンなんだろうけどもうちょっとリアルに対立するようにできなかったもんか。こんなバカなわけないだろw

こういう機関の対立で事がスムーズに進みません。ってわかりやすくはあったけどなんかアラン記者といいすごいバカにしすぎたとこがチラホラあるね
CDC アリー・ヘクストール博士のストーリー

アリー・ヘクストール博士 (ジェニファー・イーリー)
ワクチンの開発を急ぐあまり自分で治験してしまうアリー博士。
試作ワクチンが大丈夫だとわかったらこっそり自分のお父さんにも打つのかなと思ったけどこの人もただただ事態の収拾に身を捧げる聖人だった。
アリー博士疑ってごめんなさい。
ほんと悪い人が1人もいないよね。

立派な人だから自分に試作ワクチン打つってのがちょっと違うんじゃないかと思う

なるほど
被害を早く食い止めるために失敗したら死ぬかもしれないのにと思ったけど
立派な博士がそんな愚かなことするわけがないってことか

そうそう
しかも自分で実験して大丈夫だからって手続きをすっ飛ばしてワクチン出荷が認められるもんかね

あー確かにそれは考えてなかった
今回は特別な事態だからサルで実験してないけど博士を信じて出荷しますみたいなシーンはなかったね
なんか自分で言ってて絶対にこんなことないなと思ってきたw

そうなのじゃ
ストーリーとして今までリアリティがあったのにあそこだけ急にスーパーマン的になちゃって監督がやる気なくなったのかな

まさかw
WHO レオノーラ・オランテス博士のストーリー

レオノーラ・オランテス博士: (マリオン・コティヤール)
感染経路の調査のため香港に派遣された疫学者のレオノーラ・オランテス博士。ベスが立ち寄っていた香港のカジノの防犯カメラの映像から経路を探っていた。
そんななか一緒に調査にあたっていた現地職員の男たちに誘拐されてしまう。
男の目的は自分の地元である田舎町にワクチンを早く行き渡らせるための切り札としてレオノーラ博士と交換しようという事ですでに地元の子供たちを大勢避難させてあった。
ここでやっと悪い人登場かと思ったら村人を救いたいって事だった。まあ誘拐してるからいい手段ではないけど。
オランテス博士も誘拐された後に縛られるわけでもなく子供たちの授業の手伝いをしてるしなんだどうなってんだ。WHOの博士が誘拐されたんだから大ごとになってるだろうし切り札をあんな風にしておいて大丈夫なのかと誘拐犯側の余計な心配をする始末。

あの中国人の誘拐犯よくわからん。安全地帯を見つけたんだったらそのまま事態の収束を待った方が安全じゃん

ん?といいますと

最初観たときは小さい小屋に子供たちが詰め込まれてて一刻も早くワクチンが欲しい感じだったけど次に人質とワクチンの交換だってシーンになったら子供たちが勉強してて畑を耕してる大人たちがいてなかなか平和そうだった

あー確かに最初の小屋の緊迫感はなくなってのどかな感じはしたね洗濯物を干してるおばさんとかいて

あれゾンビ映画でいったら楽園だぞ最後の楽園。人里離れたとこで自給自足して外部の人と接触が無い楽園。WHOの学者を人質なんかとったら軍隊とか警察が押し寄せてきてウイルスをもってきちゃうほうが心配だ

まあ確かに人里離れてるほうがウイルスの心配は少ないよね

だいたい誘拐されてんのに偽の薬と交換してはい終わりなんてあるわけがない
警察が突入してきて逮捕されるべきだ

もしかしたらパンデミックのせいで警察も機能してないとか

白人からみれば違和感ないかもしれないけどナチュラルにアジア人をバカにした脚本なんだろうな
WHOと一緒に調査するぐらいのエリートなんだから誘拐なんてバカなことをするわけがない
ネットで絶大な支持者がいるアラン・クラムウィディ記者のストーリー

アラン・クラムウィディ記者: (ジュード・ロウ)
アラン・クラムウィディはフリー記者で主にインターネットで絶大な人気を得ている。
アランは体制と製薬会社の陰謀論をブログでばらまいて市民を混乱させていた。
CDCはすでに特効薬があるのに製薬会社の儲けにならないからワクチンを開発するまで特効薬の事を隠蔽していると訴えていたけど実際にはアランが情報を操作して特効薬で儲けていた容疑で逮捕される。

アランはなんだか悪すぎて逆に本当なのかなそれって思っちゃう

CDCは利益のために真実を隠蔽してるとか何とか言ってたけど結局なにもなかったどころかアランが逮捕されるんだけどアランの支持者たちの献金であっけなく保釈されるとかなんとも憎たらしく描かれてる

途中でアラン自身も感染してレンギョウを飲んでるとか実況しててけど感染してたことじたい嘘だったのかな
しかも本当にレンギョウ関連の情報で儲けてたのかな

まあ死亡率100%ではないから実際に感染して治ったのかもしれない
そしてこれだけクズ設定だから本当に情報操作して設けてたのかもしれないけど体制側がクリーンすぎるから逆にアランが悪者になり切れない感はあるね

逆に

逆に
クリーンすぎる政府と演出でバカにされまくるネット記者

2011年当時この映画と観たときはそれほど違和感を感じなかったんだけど8年経った今もう一回観てみると色々と違和感のある演出が気になってきたんだ。
博士とか要人に悪い人がいなすぎるっての気にならなかった?
強いて一個だけ言うとすればチーヴァー博士が発表前の情報を妻に言ってしまったって事ぐらい。これもそんなに憎むべきものではなかったよねメディアは叩きがいがあるだろうけど。
チーヴァーじゃなくてもいいんだけど立場を私物化して利益を得るような人が全くいないってのが不自然に感じたんだ。結局アランが主張してた利益のために情報を隠蔽してる説もなくてそれどころかアランがレンギョウで儲けてたとかいうオチになってたよね。アランがハメられたような感じもするけど。
この映画のアラン叩きがすごかった。ネットの記者なんかクズだぜって作り手の声が聞こえてくるような気がするぐらいだった。
テレビに出演したチーヴァー博士に詰め寄るシーンなんか歯並びの悪い前歯を執拗に目立つように撮ってるとことか見た目でもバカにしてるようで気分が悪くなった。
2019年現在はネットが真実ですって言いたいわけじゃなくて
“政府はクリーンでブロガーの記者はうそつきで歯並びが悪くてバカです”
っていう演出に違和感を感じたという事なんだ。
そしてそれに誰も違和感を感じない時代だったのかなと疑問に思ったんだ。
2011年というともうiPhoneもあったしTwitterやFacebookもYouTubeもあったからネット社会になってきたと当時は思ってたけど2019年現在から思い返すとまだまだだったのかなと8年足らずでのネットのあり方が随分と変わってきたって事なんだろなあと。

2019年現在だったらアランは政府の悪事を暴くヒーローな設定になってたかもわからんね

あー最近はそういう傾向にあるよね
それにしても政府の悪事がなにか一個でもあってもよかったんじゃないかと思うけど一個もなかったもんね
もう出てきていきなり印象が悪かったからどうなるのかと思ったらまさかのそのまま悪い奴とは

体制側があまりにもクリーンすぎて政府が作ったPRビデオのようなんだよ
“みなさんネットに惑わされてはいけません” みたいな
しかもネットの有名人が一人しか出てこないからネット代表として吊るしあげられてる感がすごい

ほんとそんな感じする
ジュード・ロウはよくアラン役を引き受けたもんだなあ
あまりにもバカにした設定だったから前歯一本黒く塗ってたんじゃないかってぐらいの記憶になる
あんな前歯だったっけなああの人

うーんよく覚えてないというか
ジュード・ロウの出てる映画をあんまり観たことないかもわからん
でもまあネットの人間はろくなもんじゃないって位置づけの映画だなあとは感じる
あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?