解説
2017年公開。「ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女」の脚本や「ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮」の脚本監督をつとめたニコライ・アーセル監督によるダークファンタジー映画。原作はスティーヴン・キングの長編小説「The Dark Tower」。
キング原作の映画としてはジュブナイルなテイストになっている。日常では信用されないジェイクが別の世界に行ったときに能力を発揮して頼もしくなる感じはとても入り込みやすい。世界としてはダークではあるが目を背ける描写などはなく、スタイリッシュなガンアクションはアメコミを連想させるほどだ。
スティーヴン・キングの長編小説を1時間半にまとめる演出も評価のポイントだろう。小説の世界をつまんで一本の映画として非常にコンパクトにまとめてある。世界観の説明もセリフだけや長いカットではなく断片的に夢や日常に紛れ込ませる事ですんなりと入り込めるように仕上がっている。原作を知らなくても主人公を応援したくなるほどに映画単体として楽しめることだろう。
そして何と言っても必見はマシュー・マコノヒーの悪の色気だろう。しぐさ一つで殺されそうな危険さを歩くだけで滲み出させる演技はまさに圧倒的である。
あらすじ
現在のニューヨーク。勤務中の事故で消防士の父親を亡くしたジェイクはある夢を頻繁にみるようになる。それは暗黒の塔を守るガンスリンガーそしてその塔を破壊するために人の皮を被った化け物を使って特殊な能力 “輝き” を持った子供たちを誘拐する黒衣の男。という夢だった。
日頃から夢の絵を描いているジェイクを母親が心配し精神治療のためにクリニックの週末キャンプに参加させようとしていた。しかし当日迎えに来たクリニックの運転手の首に夢に出てきた化け物同様の縫い目があることに気づき逃亡する。なんとか追手を振り切ったジェイクはなにかの手がかりであろう夢に出てきた屋敷へと到着する。廃墟となったその屋敷には転送装置のようなものがあった。夢で見た番号を入力して転送されるとそこは荒野のような別の世界 “中間世界” だった。
中間世界でジェイクは夢で見たガンスリンガーのローランドと出会う。最初は相手にされなかったジェイクだが、ジェイクの夢の絵をみたローランドはジェイクの能力を信じ黒衣の男を追うため共に行動する事になる。
キャストの紹介
ジェイク・チェンバーズ
(トム・テイラー)
仕事中の事故により消防士の父を亡くした少年。その頃から子供たちを誘拐して暗黒の塔を破壊しようとする黒衣の男そして暗黒の塔を守るガンスリンガーの夢を頻繁にみるようになる。
ガンスリンガー / ローランド・デスチェイン
(イドリス・エルバ)
役柄 : 先祖代々暗黒の塔の番人を務めてきたガンスリンガーの末裔。黒衣の男に父を殺されたことで番人の役目を放棄し復讐の鬼となる。
黒衣の男 / ウォルター
(マシュー・マコノヒー)
役柄 : 暗黒の塔を破壊しようとする黒衣の男。特別な能力 “輝き” をもつ子供を誘拐して暗黒の塔を破壊するエネルギーとしている。中間世界だけではなくこちらの世界(根本原理世界)にも拠点をもっている。

カメレオンとヘビのネタバレ感想
1時間半にまとめられた世界観

ジェイクひどい扱い受けてるねえ。クラスメイトにもカウンセラーにもバカにされて誰にも信用されていない。でも実はジェイクの能力は本物で重要人物となるわけだ。いい意味でありがちファンタジー設定だからすっと入り込めるんだろうね

施設から自宅に迎えにきた2人が夢で見た化け物だとわかった瞬間はかなり興奮したなあ。鉄板演出で見ていて安定感もあるし。オカルト映画で最初に幽霊が出るシーンぐらい待ってました感があるんだよね

主要人物が少なかったね。ジェイク、ローランド、ウォルター、アラぐらいかな

長編小説をまさかの1時間半にまとめてあるけど登場人物の少なさに影響があったぐらいで世界観の見せ方とかストーリーは映画としてきれいにまとめてあった。異世界となると説明不可欠のはずなんだけどほとんど大した説明はなかったよね

少年漫画であるような設定だからちゃんと説明されなくても映像とかシーンで想定できるんだよね

マシュー・マコノヒーの存在感がすごい
黒衣の男という人物を説明なくしぐさや立ち振る舞いだけで演じ切ってるね

感情があるのかないのかもわからないとこも怖いんだけど、だまってても醸し出す恐怖がいいねえ。何かの使命がありそうなんだけどなさそうだし
夢は現実だった
クリニックから迎えにきた運転手の首には夢で見た皮を被った化け物と同じ縫い目があった。なんとか逃げ出したジェイクは夢で見た建物に到着する。そこには別の世界へ転送できるポータルがあった。

逃げるジェイクがすごい頭が良くて安心して見てられるね。大体こういうとこって子供が何かヘマをして窮地に追い込まれるほうが多いけど

そうそう子供がバカな行動で勝手にピンチに陥ると本当にイライラするw
今回はジェイクがそつなく逃走に成功するしピンチになったとしても純粋にジェイクを応援したくなる。 そして転送装置を見つけるんだ

転送装置に靴を投げるなってw
靴がなくなったらどうするんだよどこに飛ばされるかもわからないのに。せめて上着とかその辺の木くずとかでお願いします

映画で靴を投げて確かめるシーンをよく見かけるけど、今履いてる靴を脱いで犠牲にしたくないよねw

うんうん靴を投げて確かめるシーンって結構あるよね。
どの映画が最初に始めたんだろう?
アメリカ人にとっては靴で確かめる事が普通なのかなw
ガンスリンガーと共に
中間世界にやってきたジェイクはついにガンスリンガーのローランドをみつけた。なんとかローランドに信用してもらったジェイクはローランドと共に黒衣の男の情報をつかむべく夢を読めるという “読み人” のもとへと向かう。

ローランドはなんであんなに子供にキレてんだろう

なんかジェイクが大人でローランドが子供っぽく描かれてるんだよね。ローランドはなんか頼りないし

あっガンスリンガーだ!って夢で見た正義のヒーローをみつけたのにローランドはジェイクに「奴の手先か?幻術だな?」とか言って崖から落とそうとするし。その後もローランドはスーパーヒーローなのにバケモノの触手が肩を貫通してるし、アレ?ってなるw

ローランドは相当病んでるね子供相手にパニックになって。出会い頭に大人が子供を安心させるシーンはよくみるけど今回は逆でジェイクがローランドを安心させようと説明に苦心するあたりは面白いよね

お母さんが殺されて落ち込んでるジェイクにローランドがかける言葉が「おれが殺す。お前のためにも。」というセリフに対して、自分の母親の死を口実に復讐をしようとするローランドに気がつき指摘をするよね

ジェイクはお母さんが消し炭になった直後なのに客観視できてすごい。ローランドはお父さんが殺されてからだいぶ経ってるはずなのにまだ復讐とか言ってジェイクにたしなめられてるね

ジェイクがすごく頼りになって子供が見てスカッとするシーンが多い