ミステリー・サスペンス

ゴーン・ガールのネタバレ感想と考察 エイミーが描くシナリオとコマと観客

解説

「セブン」「ファイト・クラブ」でおなじみのデヴィッド・フィンチャー監督による2014年のサイコスリラームービー。原作は2012年ギリアン・フリンの小説「ゴーン・ガール」。

ミズーリ州の田舎町でエイミーの失踪事件から映画は始まる。警察の捜査に協力するエイミーの夫ニックのストーリー、そしてエイミーの手記によるニックとの出会いから現在に至るまでのストーリーのが繋がってゆく。
時間と場所を変えながら断片的に進行する構成で徐々に2人の関係が明らかになってゆく演出にグイグイと引き込まれる事だろう。

そして中盤に差し掛かるあたりからエイミーの手記の理由が明らかになり話は大きく展開する。ここではあまり触れられないがこのまさかの展開から序盤が助走だったかのように大きな盛り上がりを見せる。

メディアが煽る大衆の心理や夫婦の想いなどとてもうまく演出されておりじつに巧みに印象操作を仕掛けてくる。また過去の出来事などが明らかになるにつれて感情移入してしまうキャラクターも魅力の一つ。

しかしストーリーは夫婦の価値観や夫婦のあり方などという枠を大きく超えた方向に転がってゆく。予想の結末をもう一つ上回るストーリーに驚愕することだろう。

あらすじ

ミズーリ州の田舎町。ニックは5回目の結婚記念日の朝に突然妻のエイミーが消えたことを知る。玄関のドアは開け放たれたままでリビングには争った形跡があった。

警察は公開捜査に踏み切りメディアは大きく報道する。エイミーは人気児童書「アメイジング・エイミー」のモデルでもあり大衆の事件への関心は高まってゆく。

捜査が進むにつれ夫婦には金銭問題や家庭内暴力があったことが明るみになっていきメディアは大衆を巻き込んでのニックバッシングを始めていた。

そんな中、キッチンからエイミーの血痕が見つかりニックが浮気していたことも判明し警察はニックへの疑いを強めてゆく。絶体絶命のニックは弁護士を雇うことになるが事件には思わぬ真実が隠れていた。

キャストの紹介

ニック・ダン
(ベン・アフレック)
結婚当初はエイミーとニューヨークで暮らしていた雑誌のライターだったが母がガンを患ったことにより2年前に故郷ののミズーリ州へエイミーを連れて引っ越している。短大でライターの講師をしている。

エイミー・エリオット・ダン
(ロザムンド・パイク)
ニックの妻。エイミーの両親は児童文学作家でエイミーをモデルにした小説「アメージング・エイミー」はベストセラー。幼少の頃から理想のエイミーと現実のエイミーに苦悩している。

デジー・コリングス
(ニール・パトリック・ハリス)
高校時代にエイミーにフラれて自殺を図ったことがある。20年以上経った今もエイミーに手紙を送り続ける富豪のストーカー。

タナー・ボルト
(タイラー・ペリー)
人気番組に出演する有名弁護士。夫婦問題の案件を取り扱っている。後にニックが雇うことになる。

マーゴ・ダン
(キャリー・クーン)
ニックの双子の妹でニックとバーを共同経営している。とても兄思いでいつでも兄の味方。

ロンダ・ボニー刑事
(キム・ディケンズ)
エイミー失踪事件を担当する女刑事。とても優れた洞察力を持っている。

カメレオンとヘビのネタバレ感想

人間のエイミーより本のエイミーのほうが人間的な理由

エイミーの両親は児童文学作家でエイミーをモデルにした小説「アメージング・エイミー」はベストセラー。小説のエイミーは音楽の才能もスポーツの才能もある完璧な理想の娘。結婚も現実のエイミーより先にしてしまう。幼少の頃からエイミーは常に小説のエイミーと比較され続け劣等感を抱いていた。

ヘビ
ヘビ

エイミーのお母さんが嫌なやつでいい味出してる。エイミーに小さい頃から辛い思いをさせてたかもしれないって微塵も思ってなさそうで

カメレオン
カメレオン

お父さんもエイミーの意見とかどうでもいいから黙って聞いておけよみたいな感じでいい味出してんだよね。ああ〜こういう親いるよねとかうちの親もこうだったとかなってエイミーに親近感がわく

ヘビ
ヘビ

実際にエイミーがなんでもできて、それをモデルに完璧なエイミーの本を書いてたらただの親バカで済んだかもしれないけど

カメレオン
カメレオン

本のエイミーは犬を飼ってたってシーン、現実じゃお母さんが「犬なんか飼いません!」とか言ってたのかなとか色々想像しちゃう

ヘビ
ヘビ

ニックとの結婚も本のエイミーが結婚したからって意識はやっぱり少しはあったのかな

カメレオン
カメレオン

ニックは現実のエイミーと本のエイミーの話を聞いて「ひどい両親だな」みたいなこと言ってたし実際いい理解者だったのかなとも思うけど、よく見るとこのシーンはエイミーが日記を書いてるとこから始まってるよね。この日記は後で少し燃やして警察に発見させるやつだからどこまで現実かなってとこでもあるんだ

ヘビ
ヘビ

こわいこわい

ニックとエイミーの関係はどこまでが真実でどこからが嘘か

甘い恋に落ちてニックと結婚したエイミーはニューヨークで暮らしていたが不況のあおりで2人は職を失う。それからニックの母親がガンを患いニックの実家であるミズーリ州の田舎町へと引っ越さなければならなかった。さらに追い打ちのようにエイミーの両親は出版社から切られて借金を作りエイミーの全財産も返済に充ててしまう。華やかで完璧なエイミーはまた現実のエイミーへと堕ちてゆくのだった。

ヘビ
ヘビ

ニックがエイミーを連れて実家に戻ってきたときのエイミーの疎外感はちょっとかわいそうだったなあ

カメレオン
カメレオン

でもニックの証言では母親とエイミーは仲が良かったって言ってたよね。ニックは警察に印象を良くするために嘘で仲が良かったとか言えるタイプに見えないし

ヘビ
ヘビ

ありがちな夫婦間の話ぽくも見えるね。エイミーがすごい努力をしてニックの家族に合わせてたけどニックは鈍感で普通に仲が良かったと思ってる。エイミーの苦悩に気付いてやれなかった間抜けな夫みたいな

カメレオン
カメレオン

エイミーの日記はそれが狙いなとこもあるもんね。エイミーは幼少からアメージングエイミーを演じるように育ってきたからニックとの関係が良かった頃も嘘の感情ではないけどシナリオを演じてるんだよきっと

ヘビ
ヘビ

ある意味みんなそういうところがあるだろうけど、エイミーはなんかちょっと血が通ってない感じがすごい怖くていいんだよね。ロザムンド・パイクがすごいハマってるよね

カメレオン
カメレオン

顔がまたいいよね。頭撫でられて振り返るシーンなんかもう爬虫類がが頭撫でられてるみたいな感じがしてゾッとするよねw

ヘビ
ヘビ

感情があるのか無いのかわからない顔しててエイミーという人間をよく表してる感じがいいね

エイミーは計画を何度か変更している

エイミーは5回目の結婚記念日の朝に失踪する。それはエイミーの自作自演だった。哀れなアメージング・エイミーはエイミーとの関係を崩壊させたバカな夫ニックによって湖に沈められてしまう。というシナリオだった。巧妙にバカなニック像を作り上げて警察やマスコミそして大衆まで巻き込んでシナリオは進行してゆく。しかしエイミーはテレビで完璧に演じるニックを見てニックの元へ戻るプランBへと移行するのだった。

ヘビ
ヘビ

エイミーが失踪してからエイミーがコーラをがぶ飲みしたりスナックとかチョコを食いまくってたからやっぱり完璧なエイミーの影響のために抑制してた現実のエイミーの苦しみってのは伺えるよね

カメレオン
カメレオン

そうだね。日記視点のシーンと俯瞰的なシーンと断片的にくるから事実関係が怪しなってくるけど。映画の中の警察や大衆だけじゃなく映画を観てる人もにも印象操作を仕掛けてる感じがこの映画のすごいとこなんだ

ヘビ
ヘビ

エイミーが変なカップルにお金を全部取られちゃうとこもエイミーの計画の一部かなと思っちゃうぐらい

カメレオン
カメレオン

パターゴルフみたいなのやっててボトッと札束を落とすシーンがなんかわざとらしくも見えるんだよね。でも金取られた後に枕当てて叫んで悔しがってたから本当のアクシデントだったんだと思う

ヘビ
ヘビ

エイミーは途中で何回かプランを変更してるよね
変なカップルに軍資金を取られたときとデジーの家でニックのインタビューを見た時。あとカレンダーの付箋を剥がして自殺プランをやめるシーンもあったね。自殺プランをやめる決定打はなんだったんだろう

カメレオン
カメレオン

バンガローでワイドショーを見てワイドショーで世論が完全に反ニックに流れて死刑制度にまで言及されてたのが決定打じゃないかな。エイミーとしては自殺しないで済むプランを思いついたのか、死体が発見されない方がより効果的だと思ったのかはわからないけど

ヘビ
ヘビ

エイミーは完璧なシナリオのためなら自殺とかへっちゃらぽいよね。デジーを殺したとき震えてもいなかったし自分も含めて命とかなんとも思ってなさそう

カメレオン
カメレオン

軍資金がなくなったエイミーはひとまずデジーを頼る。そしてクリームブリュレかなんかを食べながらデジーと並んで見たニックのインタビュー。そのときにエイミーは自らエイミー劇場のキャストに名乗りを上げたニックを見て、悲劇のヒロインがニックの元へ無事帰るプランが発動するわけだ

ヘビ
ヘビ

エイミーが自分でもわかっていなかった記者会見というシーンの正解をニックがやってくれちゃったんだね。でもニックにとっては苦渋の選択だよね殺人犯にならないためにまたエイミーと仮面夫婦をやらなきゃないんだから

カメレオン
カメレオン

カメラに向かったニックが「愛してる」っていう時にアゴを隠してるしニックとしてはどう演じればエイミーが帰ってくるかってわかってるんだよね。もちろんエイミーもニックが演じてるだけで本心ではないとわかってるけど

ヘビ
ヘビ

それによってデジーの運命が決まってしまうことになる

カメレオン
カメレオン

デジーが昔の好きだった頃のエイミーに変えようとしてくるあたりのエイミーの反応が面白かった。普通の人間的に言えば相性が合わないとかなんだろうけどエイミーにとってはデジーはアメージング・エイミーを演じるためのキャストではなかった感じだった

ヘビ
ヘビ

しかしエイミーの金を奪ったあの2人グレタとギプスの男だけど、エイミーにとって非常にまずくない?エイミーの顔を思い切り見てるわけだしアリバイがおかしくなる

カメレオン
カメレオン

エイミーの証言では「朝玄関にデジーがいて連れ去られた」事になってるからね。あの2人金が必要だとか言ってたから何かに気づいたらエイミーをゆすりに来るかもしれないね

ヘビ
ヘビ

グレタがなんかバカかと思ったら結構鋭いとこもあったしね。エイミーのとこまでのこのこやってきて恐喝でもしてくれたらエイミーが始末するだろうけど、警察とか週刊誌みたいなのにタレ込まれたらまずいよね

ヘビ
ヘビ

余談ですけど
変なカップル、グレタとジェフの腕にギプスをしたジェフ役のボイド・ホルブルックは
2019年Netflix「月影の下で」の主人公の警察官なんですよ

カメレオン
カメレオン

驚くほど雰囲気が違うなw

ベン・アフレックのイメージはニックそのもの

短大での教え子と浮気をしていたニックはエイミーの手によってありもしない証拠まで作られて妻に暴力を振るい妻のクレジットカードで浪費する最悪の夫に仕立て上げられていた。それはニックを殺人犯にするための準備だった。

ヘビ
ヘビ

ニックはなんなんだろうね。早いとこ見切りをつけられなかったのかな。ニックは妻の気持ちもわからないマヌケというんじゃなくてただのマヌケって感じがして人間味があるよね

カメレオン
カメレオン

そうだね。エイミーがおかしいから余計もそう思うのかもしれないw 母親の病気でエイミーを連れて帰郷して、母親が死んだら離婚となるとそれこそエイミーの思う壺になりそうだけど。最初はロマンチックな演出をエイミーが映画のように合わせてくるからニックもノリノリになったんだろうね。まあ誰でも恋人関係の最初のうちはそんなもんかな

ヘビ
ヘビ

エイミーと一緒に暮らすうちにエイミーの血の通ってなさを感じちゃったのかな。こう話してるとただの夫婦ヒューマンもの映画の感想を語ってるみたいだけど、全然違うんだよねw

カメレオン
カメレオン

幼少期の育ちで歪んでしまったエイミーがポイントなんだけど夫婦のあり方みたいなものにうまく重ねてくるんだよねこの映画は。ニックが夫婦関係を疎かにしたせいでエイミーがデジーを殺す羽目になったんじゃないかとか。全然違うんだけどさw

ヘビ
ヘビ

創作のエイミーの手記のシーンと現実のシーンが断片的に進んでいくからついついエイミーに騙されるんだよね。実際ニックはエイミーを突き飛ばしてもいないみたいだし、エイミーのカードで山ほど買い物もしてないし

カメレオン
カメレオン

浮気相手がいたっていう一つの事実があったために大衆を味方につける材料をばらまくエイミーに完全にやられてしまったね。またニックがベン・アフレックってとこがずるいんだよね。エイミーの創作手記のシーンでベン・アフレックだからニックがこんなもんかな(バカだなあ)って思っちゃうとこがあるよねw 本当にいい役者だ

ヘビ
ヘビ

なんかちょっと抜けたキャラがうますぎるよねw とにかくニックはどうにかして1日でも早くあそこから逃げないと

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