やあヘビだよ。今回は2013年の香港映画「キョンシー」の感想。この映画は1985年の香港映画「霊幻道士」をリスペクトした作品らしいんだけどこれが最後まで観たときにびっくりする映画になってるんだ。
キョンシーについて一応説明しておくと中国版ゾンビみたいなもので死体が動き出して凶暴で人を食べるというやつね。そして硬直してるのか両腕を前に突き出してピョンピョン跳ねて移動する感じだったね。映画もドラマもコメディタッチな感じだった。
でもこの映画はすごくリアルに大真面目に仕上げてあるんだ。
キョンシーがピョンピョン跳ねるとこがあのお馴染みの感じじゃなくすごくカッコよくなってる。そしてちょいちょいオリジナルキョンシーをリスペクトするような “もち米” とか “黒犬の血” とか “息を止める” とかいう設定はあるんだけどすごく現代的になってる。
キョンシーを全く知らない人が観てもそれなりに楽しめるんじゃないかと思うようなホラー映画なんだけどすこし世にも奇妙な物語っぽい不思議なストーリーでラストのまとめかたは関心するぐらいだった。
とにかく不気味すごい不気味

この映画は開始からとにかく不気味なんだ。
舞台となるマンションが不気味で世界がこの中しかないような感じ。マンションの外という世界が無いような。
そして登場人物がみんな不気味。何をしてる人たちなのか仕事をしてる感じもしない。
主人公のチン・シウホウはかつてキョンシー映画で有名だった俳優らしいけど今は落ちぶれて妻と子を失って生きる希望を失った状態でこれまた生気を感じられないこのマンションへと越してくる。
主人公のチンが入居する部屋を開けに守衛がくるけどこの部屋がチェーンでぐるぐる巻きに施錠されてるし守衛が部屋に入るときに恐る恐るだししまいには
「拝んでおけば間違いない」とかいって線香をだして
「出てくるんじゃないよ」「騒ぐんじゃないよ」「静まりたまえ」
とか言いやがるw事故物件じゃないですかこれw

このへんの外国の風習っぽいシーンが微妙に分からないことがあるな

事故物件なのかただたんに引っ越したら線香をあげる習慣があるかってこと?

そうそう
まあ今回この場合は結果的に事故物件なんだけどさ
引っ越したら新居で線香をあげるっていう習慣があるなら意味は違ってくるし

そうだね
日本人だとまだギリギリ通じるだろうけど英語圏の人達なんかがみたら全く意味が分からないかも

汚い部屋に引っ越してきて臭いをごまかすためにアロマ焚いてるぐらいにしか思わないかもわからんね

それでいうとドアのぐるぐる巻きチェーンも異様な感じだと思って観てたけど中国では空き部屋をあんな風に施錠してるのが当たり前かもしれないよね
なんかリアルな演出が怖い

映画タイトルが「キョンシー」だからコメディ要素がちょっとあるというか出ちゃうんじゃないかと思って観てたんだけど全くありません。
ただ普通に怖いです。
呪術師のガウがキョンシーをつくり出しちゃってさあ蘇るぞーっと思ったらキョンシーがピョンピョン跳ねない。
キョンシーが跳ねない!!
あのキョンシーがですよ?
1980年代に一世を風靡したあのキョンシーが
映画だドラマだそして漫画やらバラエティとかでおでこにお札とかピョンピョンとかオマージュされまくったあのキョンシーが
正確に言うと跳ねるとこがちょっとあるんだけど “あの感じ” じゃなくてすごくスタイリッシュなんだ。
まあそうだよね死体がピョンピョン跳ねるってないですよね。
まあそんなこと言ったらキョンシー自体どうなのってなっちゃっうかもしれないけどそういう事じゃなくてすごく現代的にリアルに作ってある。
あとCGを多用してあるんだけどこれがまたうまいよね。
日本のホラーはもっと頑張ったほうがいいんじゃないかな。

子供を探すのに鐘を鳴らしてるお母さんも不気味だったな

中国では子供をさがすのに鐘を鳴らすのかな

まさか
さりげなく出てくるモノが怖い

全体的に不気味で怖いんだけどその中でも古い中国の文化的なものが怖い。
古い家具とかキョンシーに着せる着物とか西洋にはない怖さなんじゃないかな。
これも同じアジア人としての怖さなんだろうか。
日本人は古い洋館の廃墟よりもボロボロの畳の和式廃墟の方が怖いって人が多いと勝手に思ってるんだけどやっぱりアジアの文化で日本にちょっと近い感じがあるからよけいに怖いのかな。
英語圏の人がこういうモノを観てどう思うんだろうね。
特にキョンシーの口にかける古銭のマスクみたいなものがかなりゾッとしたんだけど同じことを感じた人も多いんじゃないかな。日本人のヘビには深い意味はわからないけどきっと何か意味があるんだろうな。双子の霊を封じる器にしようとしてた呪術師ガウの深い思惑が。
そしてキョンシーを作り出す呪術の効果が出始めたっぽいところで突如廊下のシーンに登場する “傘の四人衆” これ怖いよ。まずデカイってだけですごい怖いんだけどさ。なんだろうこれ。
そこにいた主人公のチンと家のない親子が中国人ならだれでも知ってるかのように目を閉じて端によってやり過ごすとこは色々想像してワクワクしたね。
これもちょっと真相はわからないけど中国人にはおなじみのナニかなのかもしれないね。

傘の四人衆のシーンは日本風に言えば触らぬ神に祟りなしって感じだったね

そうだね
邪悪な感じはしたけど退治する対象を超えた触れちゃいけないものって感じがした
でも傘が廊下の壁にあたってゴゴゴグルンってのはどうにかならなかったかなw

あー
せっかく黒い霧をまとったりして実態と幻想の間ぐらいなのに傘が壁にあたらないですり抜けてもよかったよね

そうそうそうだろw

しかしあれ怖かったなあでっかいし
中国の人なら着物とかでだいたいどの地位のナニかとかわかるのかな

日本なら鎧来てれば武士の霊だろうとか着物だったら古い時代のだろうとか思うけど外国人からみるとちょっとわからないとこがあるな
ふつうに怖いけど
落ちぶれた元映画俳優の過去の栄光の幻想だった

あらすじに騙された!オープニングにだまされた!
エンディングをオープニングに持ってくる手法だと思って観てたよねみんな。
実はまだ先があった。
先というか本編をひっくり返すような話が待っていた。
主人公のチンがマンションにやってくる。
あれ?これ最初のやつじゃないですかと思ったら世界が違うぞ?
家のない親子は普通の身なりの親子に
霊幻道士のヤウは普通の服を着ててつかいっぱしりだし
呪術師のガウは検視官だった
そしてチンは首を吊る、、、吊り切ったようだ、、、
えっ?!
そう、本編のところは主人公の走馬灯のようなものだった。
ヤウが飛び込んでロープを切るとこから勝手に境界線を作って現実が始まったと思って観ていたけどずっと走馬灯の続きだったんだ。
キョンシーも双子の霊も霊幻道士も呪術師もなかった。
落ちぶれてしまった悲しい男のかつての栄光の世界だったんだ。
最期は結果的に道連れような形でキョンシー退治に成功して住民の平和を守って死んでいったわけなんだ。
きっと安らかに眠れることだろう。うんうん。
そう考えるとあの怪しい空気は怪しくてもおかしくないよね幻想なんだから。
マンションの外の世界がなさそうな感じ。住人の怪しい感じ。ましてやキョンシーも全部幻想だった。
なんでもありで汚い手法だずるいぞとか夢落ちかよって感想がでそうな気もするけど不思議とそんなことは全くなく楽しむことができた。
それどころか非現実のものが主人公のチンの幻想だということですごく現実的な悲しいストーリーになった。
ホラーファンのヘビとしてはホラー的な解釈をしたくもあったんだけどねパラレルワールド的な。
チンがやってきて死ねなかったことでこのマンションの世界のバランスが崩れてあのような世界ができた。
そしてエンディングではチンが死ぬことによってマンションの世界は通常通りです。そして通常はこんな感じでしたよ。みたいな。
でもまあ走馬灯のほうだろうね。
ホラー映画というよりもかつての栄光を失った男の悲しいヒューマンドラマだった。

主人公のチンが息子の留守電を聞いてたりテーブルで手をつないで血があふれて行ったりするから奥さんと子供が死んじゃったのかと思ったけどそうじゃなかったんだね

幻想の中の演出だったんだね
実際は仕事がなくなったお父さんをおいて奥さんが子供を連れて出て行ったんだろうか

しかし走馬灯編の最後のキョンシーと決戦のところでメガネの霊幻道士ヤウじゃなくてチンに行かせてたからなんか変だと思ったw
霊幻道士役の俳優ってだけの素人にキョンシーと戦わせてどうすんだよなw

あそこは
おまえが行かんのかい!ってなったよねw
でも主人公の栄光の世界だからあそこはチンの見せ場だったんだよね

この映画ビックリすることに音でビビらせる事をしないんだよね

そういわれればそうかも気づかなかった

結構映像をスタイリッシュにきめてるからこんな感じのホラー映画はビビらせる傾向にあるんだけどね

うんうん
音でビビらせるのはずるいからダメだね
ビックリするってだけで怖いのとは違う

ほんとにやめてほしいビックリするから

最後はチンが死んでしまう世界なんだけどなんか温かい感じがしたよね

違うフィルターを使った映像なんじゃないかってぐらい印象がちがったね
過酷な恐怖の世界をみせられた後ってせいもあるだろうけど疲れた男が安らかに眠るという意味では温かい印象のエンドだった
あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?