やあヘビだよ。
今回は2021年NetflixのSFスリラー「密航者」の感想。
監督はブラジルのミュージシャンでもあるジョー・ペナ。
2014年 Avicii「You Make Me」のPV (Avicii by Aviciiの方のPV) の監督もしている。
2年間の火星のミッションを遂行する3人のクルーをのせたロケットはステーションとのドッキングに成功してひと段落したかのように思えた。
ところが船長バーネットが床に落ちた血液を発見して天井を開けると二酸化炭素除去装置に引っかかった気を失った男が落ちてきて装置はショートして大破。
ミッションは地球に引き返すことができない段階に入っていてこのままでは火星上陸までに全員窒息死する酸素量になっていた。
4人分どころか2人分の酸素しかない状況に陥ったクルーたちは苦渋の決断を迫られる。
この「密航者」は、
1954年トム・ゴドウィンのSF短編小説「冷たい方程式」の状況が題材になっているいわゆる “方程式もの” の作品。
ところが本筋までの持って行き方や演出などが雑に感じて、
肝心の “極限状態で全滅するか密航者を排除するか” という人道的苦悩なテーマに集中できなくなってしまった。
そんなちょっと無理矢理な設定で方程式ものに持っていってしまったSFスリラー映画 (スリラー映画ではなかった)「密航者」について話してみようと思う。
誰かを殺すかそれとも全滅するか

2年間の火星ミッションに参加した3人のクルー
船長: マリーナ・バーネット (トニ・コレット)
医学研究者: ゾーイ・レビンソン (アナ・ケンドリック)
生物学者: デビッド・キム (ダニエル・デイ・キム)
3人のクルーを乗せたロケットは無事に宇宙ステーション (MTS-42) とドッキングに成功。
ロケットのエンジン部分キングフィッシャーは切り離されてステーションの先にある太陽パネルのさらに先に接続されて、
ステーションと太陽パネルとキングフィッシャーが一直線に接続。
そして中心にあたる太陽パネルを軸にぐるぐる回転する遠心力で人工重力を作った。
1968年「2001年宇宙の旅」では
車輪のような形の居住スペースが回転する遠心力よって円周部分に人工重力ができる感じだったよね。
他の映画でも車輪状のものが回転した遠心力で重力を生むというシステムがSFで一般的だった気がする。
今回の「密航者」ではアメリカンクラッカーの片方の玉を持ってぶん投げたみたいに回転する事によって遠心力で重力を生んでいるんだね。
逆に新しいなと思った。
車輪状のものを棒になるまで取っ払ったような感じだしコストも削減できそう。
でも棒状だとステーション部分とキングフィッシャー部分は常に引っ張られる力がかかってるわけだから火星につくまでにすっぽ抜けて飛んでいかないか不安だよね。
そうなったらそのまま推進力を失う事なく永遠に宇宙の彼方に飛んでいく事になるわけだから、、、
話を戻そう。
人工重力も発生して一安心だった船長でコマンダー (CDR) のバーネットは床に落ちた血液を発見する。
その上にある二酸化炭素除去装置 (CDRA) が入った蓋を開けてみると男が引っかかったまま気を失っていた。
次の瞬間気を失った男は引っかかっていた二酸化炭素除去装置の配線を引きちぎる形でコマンダーの上に落下。
二酸化炭素除去装置はショートして大破。コマンダーは左前腕部を骨折。
のちに気を失った男は
ロケット発射サポート技術者: マイケル・アダムス (シャミア・アンダーソン)
と判明する。
なんで外から蓋されて閉じ込められてんのか教えてくれというのは置いといて。
サスペンスすぎる登場をしたマイケルは意外にただのいい人でデビッドが助手として使って2人は打ち解けていった。
ところが二酸化炭素除去装置の破損は修理不能なほど大破していてこのままでは火星に着く事なく20日後に全員窒息死する酸素量しか確保できない計算になる。
しかも3人分どころか2人分の酸素量しかない。
ミッションコントロールセンター (ハイペリオン) も即座に指示を出せない程の事態でコマンダーはまずは密航者を排除するしかないという苦渋の選択を迫られていた。
コマンダーとしてはデビッドに藻をつくらせてもう1人分の酸素を確保したかったが藻が全滅。
コマンダーが一度は却下していた案、船外に出てキングフィッシャーへ酸素をとりにいくという作戦を実行する。
ここで重要なのが誰かに死んでもらわないと全滅するしかないと言う事なんだよね。
そしてもちろん観客からみても死んでいい人なんていないし困った事にマイケルも悪い人じゃない。
そりゃコマンダーも困るよねえ。

管制室の声がない演出が裏目にでてたな
コマンダーがしばらくクルーに状況を隠してるってのを観客と共有するって演出なんだろうけど

管制室がなかなか決められないのかコマンダーが管制室の決定事項をクルーに伝えれないのかよくわからなかったのはあった

まあそういう狙いもあったんじゃないかな

でも管制室の声が聞こえない演出かと思いきや打ち上げの時は聞こえてたし

そう言われるとそうだった
打ち上げの時管制室からの声聞こえてた

いきなり管制室の声が聞こえないから演出じゃなくてコマンダーの頭おかしくなったのかと疑ったよw

そんなばかなw

でもデビッドが訓練してるはずなのに弱すぎるからコマンダーがいきなり精神やられるって設定もありえるのかもしれない
うーん
ちゃんと訓練してきた?と思う3人のクルーと密航者

この映画で結構衝撃だったのがコマンダーを始めクルーたちが頼りにならないところ。
よくある宇宙飛行士ものというか1995年の映画「アポロ13」の印象が強すぎるのかもしれないけど、宇宙飛行士というのは心も体も頭脳も訓練された選ばれしエリートという印象。
ところがこの「密航者」のクルーたちは弱いただの1人の人間という印象をもつ。
船長 司令官 (コマンダー) バーネット
マリーナは有事の事態に管制室の決定を待ってイライラしてるだけでみてるほうもイライラした。
デビッドに酸素を作るために藻を育ててくれと指示するときの言い方もすごく不快だったし。
藻を育てるにはデビッドが火星での研究の準備をしてた植物を全部廃棄する必要があった。
宇宙のミッションに参加なんてそうそうできるものじゃないしコレが最後かもしれない。
デビッドもこの研究に一生を捧げてきたと言っていた。
そんなデビッドに一言も謝ることもなく藻の栽培に集中してとか言い放つ。
まるで「そんな草のことなんかどうでもいい今大変なんだから藻だけをつくってくれ」
みたいなニュアンスにすら聞こえる。
管制室の指示が遅いせいもあるけどコマンダーが何一つ決定しないどころかクルーたちに状況を隠してる状態。
ゾーイの件も早くキングフィッシャーに酸素を確保しにいく事を許可していたら太陽嵐に合う事なく、、、
いや、ちょっとコマンダーを攻めすぎだよね。
このミッションをもって有終の美を飾るはずだったコマンダーにとっても不運すぎたはずだ。
生物学者デビッド
発射時からゲロ吐いたりゾーイに荷物を持たせたり人工重力になかなか慣れない。
体力もないし弱いキャラな印象のデビッド。
でも誰もやりたくないであろうマイケルに死刑宣告をして毒薬を渡したりなかなか強い人物にも思える。
マイケルが現れて意識がないままならまだよかったけどマイケルとそこそこ話すようになって仲が良くなってからの死刑宣告はかなり辛いものがあっただろう。
死刑宣告はコマンダーの役割じゃないか?
というのはおいといて。
火星での研究植物を全部破棄させられて作らされた藻が全滅。
そして仲が良くなったマイケルに死刑宣告。
デビッドが不憫でなりません。
医学研究者ゾーイ
軽い気持ちで火星ミッションに応募したら受かっちゃったテヘペロってセリフをエンディングでもねじ込んできたゾーイ。
行動も決断も素早くテキパキとしていて最年少っぽいのにとても面倒見が良い。
ムードメーカー的役割な感じでもあったので今後の火星までの船内はお葬式状態に違いない。
太陽嵐の中いそいで帰ってきてボンベを落としてしまった時はさぞかし自分をぶん殴りたかっただろう。
もしあそこでボンベを落とさなくて太陽嵐を凌ぐことが出来ていたらもう一回ボンベを充填しに行って違う人が犠牲になっただろうか。
「代わってあげたい」とゾーイに言うシーンで
いやいやコマンダーが行けよと思ってしまった。
クルーを守るのがコマンダーの役割なような気がする。
でもコマンダーは骨折してるからテザーを登ってキングフィッシャーまで行けないんだよねえ。
ヘビはコマンダーが自ら犠牲となってスーパーヒーローになりがちなアメリカ映画に毒されてるのかもしれないw
密航者マイケル
構造工学の修士課程でロケット発射サポート技師として働いている。
学生でありながら仕事をして妹エヴァの面倒をみている優しいお兄ちゃん。
9歳の時に火事で親を失ってから幼い妹の面倒を見てきたらしい。
意図せずとも密航者になったことでクルーたちに負担をかける事を申し訳なく思い色々と手伝おうとする。
ところで作業中に気を失ったって言っても誰かが生命維持装置の隙間に押し込んでふたしないとあの状況にならないよね!
何があったんだマイケル!!
恨まれるようなことがあったのかマイケル!!
まいけるうううう!!

マイケルが悪いやつじゃなさそうだから困ったもんだよね
慣れたらどれにしようかなって食料を勝手に食ってたけど

そこらへんがこの映画の軸だとは思うけどね
人間関係を楽しむとかそういう感じで観て欲しかっただとは思うけど
まあそうだよねぐらいにしか感じなかったなあ

つまんなかった?

つまんないという感情すら湧きませんでしたね

タンクに酸素を充填しに行く外のシーンはハラハラしたよ

コマンダーが最初にタンクを充填しに行く案を却下したときは、
じゃあなんか代替案出せよってイラつかなかった?

イラつきもしなかったね
そうだよねえコマンダーもなかなか決められないよねえぐらいで

だいたい酸素がなくなるとか言ってからながすぎんだよ映画的に
あんなにゆったりされたら緊張感もなくなって火星まで大丈夫なんじゃないかとか思っちゃうよなw

それはありますなあ
コマンダーは何日間なにもしないつもりなんだと思って見てたし
マイケルのあまりにもサスペンスな登場の弊害

この映画の状況、
ギリギリの物資の中で想定外の密航者が1人増えたことによって全滅の危機にさらされ密航者を排除しないと全滅の危機にさらされるが人道的に苦悩する。
という設定は1954年トム・ゴドウィンのSF短編小説「冷たい方程式」という作品から ”方程式もの” と呼ばれているそうだ。
この「冷たい方程式」の舞台も宇宙船だったことからこの作品をリスペクトして監督は「密航者」をつくりたかったんだろう。
それにしてもだよ。
あんな狭いスペースに押し込まれて閉じ込められたマイケルの登場のインパクトと謎がすごすぎて観客は思い切りサスペンスよりに引っ張られたと思う。
宇宙船ってスペースが限られてて無駄なスペースはないはずだから作業中に気を失ってる作業員がいたらすぐ発見されるはずだしそれどころかわざわざ外からビス止めしてふたしてあったし!
発射サポート作業後に作業員1人いないけどまあいいかってならないはずだし!
そんな感じで閉じ込められた人が現れた状態から淡々とヒューマンドラマに持っていくのは無理がありすぎるんじゃないかと。
なんであそこに閉じ込められたか教えてくれよおおおお
ってなってしまった。
しかももともと2人用のステーションを3人用に改造してあるとか言い出して強引に極限状態設定に持っていったみたいで牛乳吹いたじゃないかw
感動の映画につまらないツッコミをしてバカにする気はないんだけど、マイケルの登場に引っ張られて人道的苦悩のテーマを受け入れるモードになれずに演出の粗が気になってしまって残念だなあと思いました。

密航者を排除する人道的に反する苦悩とかをえがこうと思ったら登場人物が少なすぎると思う

3人しかいないんじゃマイケルを助けたいか殺したいかぐらいしか出てこないじゃん

クルー同士で殺しあったりするぐらいかな

殺し合う必要はない

対立するとかか

1人はコマンダーで使い物にならない役だし3人じゃすくなすぎ

ふむふむ鋭いですね
「冷たい方程式は」6人だそうですよ

やっぱりそれくらいいないと役割が演じきれないよ

そもそも火星に行くのに3人って少ないと思わなかった?w

そんなに気にしてみてなかった
2年計画だから後続部隊がくるかもしれないし
3人にしては広いステーションだなと思ってたぐらいかな

それ少ないと思ったって事じゃねえかw
あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?