ホラー・パニック

ブロックアイランド海峡のネタバレ感想と考察 ストレートすぎるテーマが映画を台無しにするのでフォーカスをぼかして楽しんでみる

やあヘビだよ。
今回は2020年のアメリカホラー映画「ブロックアイランド海峡」の感想。

寂れた小さな島ブロック島では原因不明の魚の大量死が起こっていた。
日を追うごとに浜辺に打ち上げられる魚の死骸は9トン近くになっていた。
環境保護庁の調査員であるオードリーは娘のエミリーを連れてたまたま故郷でもあるブロック島へ調査に訪れた。
母が亡くなってから来なくなっていた実家で調査の間久しぶりに父のトム弟のハリーと過ごす事になった。
しかし少ししてトムは反応が無く突っ立っていたり夜中に船で出かけたりと様子がおかしい事に気づく。
ついには行方不明になって数日後に海岸で遺体となって発見される。
遺体の状況などからトムの死は事故ではないと確信するハリーはトムの死について調べていくがハリーもまたトムと同じような症状が出始めていた。

この映画は舞台となる寂れた小さな島の不気味な海がゲーム「Fallout 4」のファーハーバーのようなホラー的に良い雰囲気でテンポもよく観やすい。
でもテーマが
「生き物を救うというのは人間のエゴではないでしょうか?」
と言う感じで古臭いうえに最後にはナレーション的に文章で直接的に伝えてきてしまって全部を台無しにしたような感じが残念に思った。
そんな、サラっと観れる飽きさせない映画なのにどうしてダメだったのかを考えてみる。
そして作り手のテーマは明確なんだけどそれだけだと救いようがないので勝手に深読みをしたりして楽しんでみようと思う。

サラっと観れるのにダメな映画だった理由

この映画は途中で飽きる事もなく最後まで観れるんだけどなんだか面白い感じがしなかった
テレビの再放送でやっててなんとなく観るのはいいけど東京オリンピック開催中にわざわざ観るまでもないかなあと言う感じ。
2020年の映画としてはテーマが藤子不二雄SF短編集のような昔っぽい感じがあるけど、昔のテーマを今やったらダメだと言いたいわけではないしそうであるはずはない。
ではなぜ面白いと思えなかったんだろう。

それはやっぱり昔からあるテーマを使ったうえに意外性が無かったからではないか。
序盤での
「調査のために生物を捕獲するけどその種を助けるための犠牲だからいい事」
のシーンから
「人類がそれをされていたらどうですか?調査のために生きて帰されなかったケースがトムとハリーになる。このケースが身内だったらどうでしょう。魚を守るというのも人間の視点なのです。みなさんこれについて考えてみましょう」
と直接言ってるかのようなラスト。
「人間のエゴ」について考えるドキュメンタリーのようなエンディング。

でも映画の構成としてはテンポがよく

  • お父さんはどうなったのかな?
  • ハリーに同じ症状がでてるけど感染するのかな?
  • 病院で調べて何かわかるかな?
  • 電磁波過敏症の患者の話で何かわかるかな?
  • 周期的に大量死する魚や鳥と関連があるのかな?

と思わせるように話が展開していくから退屈はしない

だけど結局ゆるいパスが次につながっていくだけで何も解明はしない。
話が動いてるようでいて謎のままだから結局は「人間のエゴ」というテーマだけでしかなく出尽くしたテーマを何のひねりもなく大真面目にやっただけな印象になってしまった。

魚の大量死は人間が招いた事なんですよまで言って地球温暖化までからめて、人間視点での考えを改めてみましょうってスタンスに振り切ってくれればまだ壮大な感じになったかもしれない。
なんだかダサいけど。

ヘビ
ヘビ

最初はなかなか面白そうだと思ったんだけどなあ
寂れた街で燻りながら父親の面倒を見るハリーと寂れた街をすてて出て行った姉の分かり合えない壁のようなものが悪魔の惨事のシグナルを見逃して手遅れになる
みたいな

カメレオン
カメレオン

雰囲気がよかったし役者もよかったからなあ

ヘビ
ヘビ

そうなんだよね
しかしお父さんの顔が怖すぎて何なのかと思ったけど普通にああいう顔の人だった

カメレオン
カメレオン

おいおい気をつけろよこのご時世

ヘビ
ヘビ

いやいやw
なんかお父さんが悪魔とかUMA的な何かにやられて容姿がおかしくなってきてるのにハリーは毎日一緒にいるから変化に気づかないとかそういうやつかと思ったんだよ

カメレオン
カメレオン

ヌメヌメしてたしなw
あれでお父さんの手足がタコになってたらH.P.ラヴクラフトのクトゥルフ神話っぽっくて面白かったんだけどな

作り手の明確なテーマはひとまず置いといて楽しんでみよう

まずあの海上で吸い上げるモノの呼び方を決めておこう。
宇宙人、異星人、化け物、何でもいいけど正体不明すぎるからホラー映画風に ”未知なるもの” とでもしておこうか。

最後に明確にした「エゴ」テーマだから、魚や鳥の大量死、電磁波とか全部
「地球を壊したあんたら人間のせいやで」
って言いたそうなんだけどそれだと救いようのない映画になってしまうからもうすこしホラー映画として好意的に勝手に楽しく考察してみようと思う。

まず「未知なるもの」はなにをしているのか
大量死した鳥の頭がつぶれてるってシーンから、「未知なるもの」が捕獲して調査した跡のような印象をうけたりもした。
でも生物調査が目的なら、冷蔵庫の中のもの>鹿>犬>少女はあの能力で吸引して捕獲すればいいだけだしわざわざ人間を操って調達する必要がない
それどころか操られた人間が代わるたびにまた調査対象が冷蔵庫の中のものから始まるわけがないじゃないかw
そう考えると操られてる人間そのものが調査対象なのは明らかで人間の動向や葛藤、つながり、倫理観など「人間社会」について調査しているに違いない。

それをに思わせるところが映画全体で目立っている島にとどまるハリー島を離れたオードリーあまりにも違いすぎるものの見方

行方不明になったお父さんを必死に探そうとするハリーは変人扱いされる。
普通なら親が行方不明になってすぐに「どうせもう死んでるから諦めて」ってなるオードリーが異常だよね。
実家を離れるというのはそういう事なのかもしれないけどねえ。
行方不明が娘だったらこうはならないはずだ。

「未知なるもの」はそういう事すらも調査しているんじゃないか。

魚や鳥の大量死は「未知なるもの」とは別問題かもしれない。
ハリーが大量死の推移を地図に書いてみるシーンや大量死した鳥の頭がつぶれているシーンで観客に「未知なるもの」の仕業だと匂わせる。
これはホラー映画ではよくあるワクワクするところだよね。
でも実は「未知なるもの」と大量死は関係なく、むしろ「未知なるもの」もこの魚や鳥の大量死を調査するために関連があると思われる「人間の社会」を調査している気がする。


一部の勇敢な魚を調べさせてもらう。
その役割がハリーとトムに回ってきた。
2人は死んだけど人間社会には全く影響がなかったようです。
警察は事故で処理をして2人とも奇行が目立っていたという記録が残るでしょう。
そしてオードリーは冷蔵庫の中のものを海上に運び始める


あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?


タイトルとURLをコピーしました