やあヘビだよ。今回は2019年Netflixオリジナルのスパイ映画「コールデスト・ゲーム」の感想。
1960年代初頭の米ソ冷戦史上もっとも緊迫したキューバ危機の時代。
酒にギャンブルと落ちぶれていた天才数学者がアメリカで拉致されてついたところはワルシャワだった。そこで開催される米ソ交流チェス大会のアメリカ代表として参加することをアメリカ政府に強要される。
しかしそのチェス大会の真の目的は米ソがお互いの運命を賭けたスパイゲームだった。
拉致された数学者はワルシャワのアメリカ大使館で簡単な説明をされて殺害された先任のプレイヤーの代わりにチェスをプレイするだけのはずだったがスパイゲームに巻き込まれていく。
主人公の数学者がアル中で朦朧としているので観ているほうも自由を奪われてスパイゲームに巻き込まれているような感覚になる没頭感。
冷戦時代に米ソ関係者が表面上の交流で緊張した舞台をベースに繰り広げられるスパイゲームというだけでもいい雰囲気をつくりだしている。その緊迫感のなかで暴かれるスパイ。そしてアメリカの協力者だというソ連軍の「ギフト」とは何者なのか信頼できるのか。
多少腑に落ちない所があったとしてもいい雰囲気を楽しむことができるんじゃないかというそんな映画です。
冷戦史上もっとも緊迫したキューバ危機

やっぱりこの映画を観るにあたって少しでもキューバ危機のことは知っておいた方がいいんじゃないかと思って調べていると、、、
キューバ危機を知るにはピッグス湾事件
ピッグス湾事件を知るにはキューバ革命
そしてベースとなる米ソ冷戦を知らない事には、、、
とまあ色々知らなきゃいけないことになってきてわけがわからなくなってきた。
なのでものすごくザックリと流れを調べると。
- 1945年 ソ連が東からアメリカが西からナチスに反撃してナチスが降伏ヨーロッパでの第二次世界大戦終結
- 戦後の世界秩序のために国際連合 (The United Nations) ができる
この時まだ米ソは友好関係。 - 戦争で壊れたヨーロッパの国々を復興するためにソ連は東からアメリカは西から支援
共産主義と資本主義の陣取り合戦になっていく - 1949年 北大西洋条約機構 (NATO) 結成 – アメリカ、カナダ、西ヨーロッパ諸国の軍事機構
- 1951 キューバ革命 親米軍事独裁を倒してカストロが首相の座に就く
アメリカへ友好関係の継続を申し出るがニクソン副大統領に色々突っ込まれたカストロはキレてソ連と手を組む - 1955年 ワルシャワ条約機構 (WTO) 結成 – ソ連、東ヨーロッパ諸国の軍事機構
- 1960年 ピッグス湾事件 アメリカに亡命したキューバ難民を組織してキューバに攻め入らせるけど撃退されて生き残りが捕虜になる
アメリカの正規軍が関わっているのがバレて世界からアメリカが非難される - 共産主義者とは交渉しないとアメリカが逆切れしてキューバに経済封鎖の実施
- キューバ政府は上等だこれは社会主義革命だと宣言
- カストロはソ連と組んでアメリカのキューバ侵攻に備えるためソ連の戦闘機とかちょうだいというけど最終的にソ連が核ミサイルにしようぜ言う
- 1962年 ソ連がキューバに核ミサイル基地を建設していることが発覚
キューバにソ連の核ミサイル配備の危険!!
ここです映画の時代。

この時代まだアメリカ側しか弾道ミサイルを開発してなかったからソ連としてはアメリカから一方的にロックオンされてる状態
アメリカと対等になるためにアメリカ本土に届く核ミサイルを配備するっていうのは重要だったんだな

キューバって言われても葉巻を連想するぐらいで場所とかもピンとこないけど地図観るとビックリするぐらいフロリダのすぐ近くなんだよね
これはアメリカにとって脅威なわけだ

キューバってもう社会主義の印象しかないけどキューバ革命って最初から社会主義革命ってわけじゃなかったんだね

そうなんだよね
しかしキューバ革命直後にアメリカが友好関係継続を受け入れないメリットはなんだったのか
もう米ソ対立してるから受け入れなければソ連にすりよるかもしれないって想像できそうなもんだけどな
ジョシュアの抜擢の真の目的は

酔っぱらってギャンブルに明け暮れる元天才数学者ジョシュア。世捨て人のようになってるけど天才は相変わらずでバーで賭けポーカーをやって稼いでる。
なんか見たことある顔だなと思ったらビル・プルマン。そうインデペンデンス・デイのアメリカ大統領ですよ!
あれから24年も経って (2020年現在) 前は嫌な感じだったけど歳をとってすごくいい顔になってるなあ。
あとから出てくるけどジョシュアは数学者だったころ第二次世界大戦終結近くにある出来事があってそれから間接的な罪の意識も加わって世捨て人のようになっているようだ。数学も悲劇しか生まないと。
そんなジョシュアがいつも通りバーでポーカーやって酔っぱらっていると女が話しかけてきた。不信感を抱いたジョシュアは店から出たとこで拉致される。
気がつくと壁にスピーカーがいっぱいついた部屋の中にさらにガラスの箱のような部屋があってその中だった。
そこには声をかけてきた女と男2人がいてみんなアメリカの諜報員だという。
そしてここはワルシャワのアメリカ大使館で米ソ交流チェス大会が開催される場所だった。
ジョシュアはアメリカ代表としてチェスをプレイさせるために連れてこられた。
冷戦真っただ中に大勢のアメリカ人とソ連人が接触する大会は両国にとって情報を収集する絶好の機会ってわけだ。
ジョシュアはアルコールを接種すると頭が冷静になってまともになるという。酒で頭が正常になる脳活動が減速して正常値に近づく。ほうほうなるほど。酒飲みが同じこと言いながら酒がぶがぶ飲んでるの見たことある。

なんでわざわざ拉致してんだw 普通につれていけないのかな拉致なんて共産国のイメージじゃないか

アメリカも赤狩りとかあったしやってる事はソ連とかわらんだろ
しかもキューバに核配備されるかどうかの瀬戸際だからすばやくだね

そういえばアメリカって自由の国とかいうけど冷戦時代は全然自由の国じゃなかったんだよね
誰も信用できない内通者は誰なのか

映画の中で「5日前」「4日前」とカウントダウンしていくんだけど最初はジョシュアが拉致される前の出来事かと思って観たりしてたから凄い混乱した。
このカウントダウンはキューバ危機の事で核ミサイルを積んでいるかもしれない輸送船が来るまでにキューバ海上を封鎖するかしないか判断しなきゃいけなくてそのタイムリミットまでのカウントダウンだったんだね。
いやあもうこういった映画が苦手なヘビはひとつずつ整理していかないと頭に入ってこないのですよ。そこでヘビがいつも覚えられなくてわからなくなっていく人物を整理してみるよ。
ジョシュア
元天才数学者で現在はバーでギャンブルをする酔っ払いになり果ててる。
数学者だったころ第二次世界大戦終結前に物理学者の友人が助言を求めてきたときにミスをみつけて方程式を書いてあげたことで彼の計画が成功することになる。友人はお前なしでは実現できないからロスアラモスに来てくれと言った友人こそオッペンハイマーだった。
そうですロスアラモスとは「ロスアラモス国立研究所」彼の計画とは「マンハッタン計画」だ。
ヒロシマとナガサキに原爆投下という結果になったのでジョシュアは助言しなければこんなことにならなかったんじゃないかと罪の意識に押しつぶされて世捨て人のようになってしまったんだね。
そしてアメリカ政府としてはそんな功績を知っていたから天才ジョシュアに白羽の矢が立ったわけだ。
でもその抜擢の真の目的はチェスプレイヤーの他にあった。アメリカ政府はジョン・ギフトから情報を受け取るのが目的だったけどアメリカにソ連の内通者がいる事が発覚。そこで部外者で絶対に内通者ではないと言えるジョシュアをジョン・ギフトと接触させるためだった。
ノヴァク
アメリカ大使館のガラスの部屋で最初に合う口ひげ髭を生やした男。表はアメリカ大使館の高官で本当の顔はアメリカ諜報員なのかな。
最初から信頼できそうな感じだったけどそのままだったね。
ホワイト
この人もアメリカ大使館のガラスの部屋で最初に合う若い男。アメリカ諜報員。
「ソ連の男が妻の妊娠を知っていた」と怯えていた。ソ連に身辺調査をしっかりやられていたようだ。
ジョシュアの部屋に極秘に会いにきて「右手の甲に傷痕がある」とジョン・ギフトの情報を伝えにくる。
スパイ映画にありがちの逆に内通者はこいつなのか?と思わせる感じもあったけど結局殺害される。
ストーン
アメリカのバーでジョシュアに声をかけてきた女。
アメリカ諜報員と思いきやソ連の諜報員。内通者はこの人だった。
今回重要な情報をアメリカに渡そうとしている内通者でソ連に紛れ込んでいるジョン・ギフトという人物の特定が任務。
ヘビが最初にバーで登場したこの人をみてロシアっぽい顏をしてるなあって思ったんだw
でもこの女優さんはオランダ人みたいだし関係ないのかな。それともそういう含みを込みでの配役だったのかな。
ホワイトを殺したのはこの人だね。
ホワイトがソ連の男が妻の妊娠を知ってたって怯えてた時に慰めてタバコを進めるシーンが意味深だったよね。
そしてリシンといえばドラマ「ブレイキング・バッド」の中でタバコにチョンチョンと粉末のリシンをつけて吸わせて対象を殺害しようとするシーンが印象的でね。しかもリシンは検死で証拠が出ないうえに即効性がないらしい。(ドラマの記憶で実際はわからない)
だからあそこでリシンの付いたタバコを吸わせて次の日にジョシュアの部屋で死んだ。
ジョン・ギフト
ソ連軍の将校として紛れ込んでいるアメリカ諜報員。
誰もその顔は知らないけどソ連のおとり捜査によって危うい状況になってきている。
今回機密情報をアメリカ側に渡すのが任務。
右手の甲に傷痕がある。
アメリカに内通者が紛れてることから直接接触する人物に慎重になっている。
クルトフ将軍の側近扮する偽ギフトとストーンがトイレでジョシュアに接触したとこに現れて2人を殺害。
どうやらストーンは偽コルクを持たせた状態でをジョシュアを殺す計画だったらしいがギフトに救われることになった。
偽ギフトが持っていた偽コルクに血でしるしをつけたうえでギフトが持っていた真のコルクとともにジョシュアに託す。
アルフレッド
ジョシュアが滞在することになるワルシャワ科学文化宮殿の支配人
戦争中にドイツ軍に家族を殺されたときにソ連は川の向こうで見てるだけだったと恨みをもっている。
終戦後にはソ連に支配されてスターリンが寄贈した科学文化宮殿の支配人に任命される屈辱に苦しんでいる。
とても優しい性格で密かにアメリカが好きなのもあるかもしれないけどジョシュアに好意をもって色々手助けしてくれる。
最後の手助けが命取りに、、、
アメリカに亡命する気だったのか自宅からドル札が発見されたようだ。
クルトフ将軍
ソ連の将軍。おとり捜査を指揮しているらしい。
とても厳しい性格で恐怖政治のお手本のような人物。
資本主義アメリカを心底憎んでいる。
頭がキレて勘が鋭い。

うーん
ホワイトもソ連のスパイだったのかなストーンといいコンビな感じがちょっと気になったけど

タバコをすすめてるときに確かに意味深でリシンを吸わせてたっぽいけど
「ギフトをみつければ帰れるわ」ってセリフがホワイトも同じソ連側って感じにも聞こえるんだよね

そうそう
逆にあの時点でホワイトを殺す意味がよくわからないし

でもソ連側だったらそのギフトの特徴をたよりにギフトをあぶりだせばいいわけだし
ジョシュアに知られたら情報が流出するリスクが高くなるんじゃないか

しかしトイレのシーンでギフトが下から覗き返してきたのはビックリしたw

あれ怖いよねあんな狭いとこで絶体絶命だし

もう事が終わってジョシュアが帰還してる回想シーンって前提で観てるから絶対にないと思う事なんだよなw

そうだよね
まさかコルクがもう一つあると思わないで観てるし
ポーランドのソ連に対する思いを伝えたかったのか

ポーランドの人はソ連に思うところがあるのか
これポーランド映画だからなのかソ連が間抜けに描かれてるようにみえるのは気のせいだろうか。
ポーランド人がみんなアメリカよりってわけじゃないかもしれないけど。
アメリカは敵地に乗り込んで送り込んだスパイから情報を受け取る。そしてスパイも回収して帰ってくる。
ソ連はそれを阻止できなかった。
まあ実際情報戦に勝ってキューバ危機を回避できたのかもしれないけどどうも違和感が残るとこも色々あったよね。
先任のチェスプレイヤーが殺された。
ホワイトが殺された。
ソ連が内通者だと思う人を殺してるわけだよね。
しかも「ギフトは手の甲に傷痕がある」って情報をストーンが仕入れてもソ連はギフトのあぶりだしができなかった。
感が良すぎるクルトフ将軍なら傷痕までわかったら秒殺じゃないかなw
トイレに隠したウォッカで支配人が協力してる決め手にならないはずなのに捕まえてたし。
なんか作り手のソ連に対する悪意みたいなものを勘ぐってしまった。
冷戦のESPテストの成果か
そういえば催眠術でチェスの試合してるジョシュアを妨害するシーンは面白かったね。
催眠術師って言ってたけどスキャナーズみたいだったね。
昔の超常現象的なテレビ番組で冷戦時代のソ連が「ESPテスト」とかいう研究を子供たちを使ってやってたなんて話を思い出した。でかいカードに色んなマークが書いてあって裏側しか見ない状態で子供がマークを当てるってやつ。
そういう訓練をしてた時代だから大真面目にああいう事をやっててもおかしくないんじゃないかとワクワクした。
でもアレができればそれこそギフトを捕まえるのも容易かもしれないけどw
盗聴防止のガラスの要塞
ガラスの部屋も印象的だったねえ。
アメリカが共産主義の脅威を取り除くために憲法を無視してでも赤狩りをやった過剰な反応の具現化みたいなものを感じた。
大使館って言ってたから地下かなんかなのかな。盗聴防止だろうけど壁のスピーカーで妨害音をだしてさらにその中にガラスの箱をつくってその中で会話する。
ソ連が渡したかったコルクが核配備を示すものでギフトのコルクがハッタリ?!
しかしふたつのマイクロフィルムの分析結果のシーンがよくわからなかった
- 血の付いたコルク (ソ連のスパイが持ってた偽物) から核配備を示すフィルムが出た
- もう一つ (ギフトが持っていたもの) はハッタリだ
ふむふむ?
ソ連は核配備を示すフィルムをアメリカに渡そうとしててギフトはハッタリのフィルムを渡そうとしてた?
ハッタリ?
逆ならわかるんだけど、、、
アメリカの方針は先に決まっていてスパイゲームの結果はどっちでもよかったんじゃないか
- ウソつきと正直者の兄弟がいる
分かれ道で何と聞けば街への行き方がわかる?
兄弟の片方にもう一人は何と答えるか聞きその反対の道を行く
なるほど
真実が右だとして
聞いたやつがうそつきだったら正直者 (右) の逆を言うから「左」と言う。
聞いたやつが正直者だったらウソつき (左) のまま言うから「左」と言う。
だからどっちに聞いてもその逆この場合「右」に行けば正解なわけだ。
- 計算式がこれに似ているならソ連は障壁の少ない道を選び俺を排除したはずだ
- すでに目的は遂げた
- 裏切り者とアメリカの諜報員を殺しキューバに輸送船を派遣しチェックメイトだ
- 彼がギフトだ命を救われた
んんん??
うそつき兄弟の法則でフィルムを見比べれば本物の情報がわかる?
ギフトは助けれくれたから本物のギフト (アメリカ側のスパイ) に間違いない。
ほうほうなるほど (?_?)
最後はチェスの最終試合を放棄して脱出するように帰国するジョシュアだけどアメリカのメディアからみると最後の試合をあきらめて逃げ帰ったようになるんだよね。
アメリカに到着するなり記者たちに
「アメリカに恥をかかせた気分は?」
「国のため命を捧げた兵士もいるんです」
とか言われる始末。
ジョシュアが命がけでアメリカの平和を守る事に貢献したことを一般の人は知る由もない。
最後のノヴァクのセリフはなんだったんだろう
「国連で一芝居打ってミサイルは発射寸前だったとマスコミに流す」
「誰も違いはわからない」
結局ギフトから受け取った情報は脅威はないってことだったけど脅威だったことにするってこと?
ソ連側が核配備を示すフィルムをジョシュアに渡して死体にしようとしてたみたいだけどそれだとキューバに核配備する邪魔にならない?
ジョシュアが核配備を示すフィルムを持ってたらやっぱりキューバ海上を封鎖されちゃうんじゃない?
そもそもソ連は各施設をキューバに作ってたけどアメリカに対する威嚇のためでミサイルを入れる予定はなかったとか?
そもそもギフトを帰国させられるならジョシュアに接触させる必要があったのかな。
まさか政府の方針はすでに決まっててこのスパイゲームは敵国の情報をかく乱するためだけの茶番なのか。
ちょっとよくわからないとこもあったけどすごく雰囲気の良い映画だった。

あのガラスの箱はなにかワクワクするものがあったな

スパイ映画っぽくて?

いやなんかあのガラスの箱でしゃべってるとこをみたら喫煙所を連想したんだよ

ほうほう

公共のじゃなくて自分の会社の喫煙所で分煙が始まりかけてまだ重役とかタバコを吸ってる人がいたときの喫煙所

ふむふむ
今はもう重役ほどタバコ吸ってなさそうだよね

映画でもあの中で重要なことを話してるわけじゃん

うんうん

タバコを吸ってる人が減ってきてるときで
喫煙所に入ると直接の上司じゃない上司とか普段話なんかしないような力を持った重役が1人でタバコ吸ってたりするわけよ

ふむふむ

そうすると普通入ってこない情報を聞けたり自分の仕事の根回しとかできたりした

ふんふん

その重役とかがいちいち喫煙所でてからタバコ吸わない人に同じ事をしゃべったりしないからすごい特別な情報を得られる空間って感じだったんだよ

あなるほどまさに特別な空間だ
あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?