ホラー・パニック

闇はささやくのネタバレ感想と考察 Netflix 超常現象も主要人物の愚行も色あせるほどのジョージの不快な笑顔は逆にすばらしい

やあヘビだよ。
今回は2021年アメリカのホラー映画「闇はささやく」の感想。

都会暮らしをしていたキャサリン、夫のジョージ、小さな娘フラニーのクレア一家はジョージの仕事の都合で急遽田舎町に引っ越すことになった。
ジョージがみつけてきた19世紀後半に建てられた古い家で新生活が始まるがキャサリンとフラニーは怪奇現象に見舞われる。
ある日キャサリンは台所の棚で家系図が書かれた古い聖書をみつける。
それをもとに地元新聞などを調べていくと昔この家で起こった事件を知る。

この映画は最初に現れる幽霊からそういった映画だと思っているとジョージのどす黒さにビックリさせられるサスペンスホラー映画
そして現れる幽霊たちは直接危害を加えるわけではなく目的が興味深い。

そんな幽霊の目的や周りの人物のちょっとした愚行が色あせるほどに憎悪を抱かせるジョージの笑顔について考えてみようと思う。

家の霊たち

作中にでてくるエマニュエル・スウェーデンボルグ著「天界と地獄」は実在した科学者の本らしい。

生きながら霊界を見て来たと言う霊的体験に基づく大量の著述で知られ、その多くが大英博物館に保管されている。

エマヌエル・スヴェーデンボリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最終更新 2022年8月10日 (水) 19:43

科学者でありながら実体験をもとに霊界に関する本を出しているとても貴重な人物だったようだ。
霊界を科学的に証明する前に “霊界入り” してしまったのは人類にとってとんでもない損失だろう。

最初の家の持ち主スミット夫妻はスウェーデンボルグ信者だった。
夫のジェイコブはカルヴァン派のクリスチャンスウェーデンボルグの思想は聖書の冒とくとされていた事から妻の26歳にして不可解の死はそういう事だろう。 (お察しします)

それにしても敬虔なクリスチャンであったジェイコブのほうが “地獄落ち” してしまったのは興味深い。

宗教改革の思想家ジャン・カルヴァンにちなんでカルヴァン主義と名づけられている。このプロテスタントのキリスト教は、改革派の伝統、改革派信仰、改革派神学と呼ばれる。

カルヴァン主義

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
最終更新 2022年9月21日 (水) 03:52

女性の霊

キャサリンは聖書にあった家系図から家に現れる女性の霊は最初にこの家を建てたジェイコブ・スミットの妻だと考えていたけど違った。
霊の正体はキャサリンたちの前に住んでいたヴェイル家の夫人エラだった。
エラは使用人のエディとコールの母
エラの夫カルヴィン・ヴェイルは排気ガスで一家無理心中したが子供たちは生き残っていた。

エラの霊は特に危害を加える事もなくドアを閉めたりロッキングチェアを揺らしたりするぐらいのパワーしかないけどジョージからキャサリンを守っているというかキャサリンの味方のようだ。
それならそれでフラニーの部屋に現れてフラニーを怖がらせるのはやめてくれないかなと思う。 (優しい笑顔で観ていてもフラニーにとっては怖いがな)

それとエラの霊はキャサリンに出来事を伝える能力もありそうだ。
ジョージがウィリスと肉体関係をもって帰ってきたときにキャサリンが指輪をはめたとたん悟ったように見えた。

男性の霊

男の霊はジョージの邪悪な心が解放されるようになってから現れ始めた。
こちらは正体が明らかにならなかったけど無理心中をしたカルヴィン・ヴェイルの霊だと思う。
エラの霊同様に直接危害を加えることはなくジョージに何かを伝えるパワーしかなさそうだ。
カラスが窓を破って入ってきたときに
「明日彼氏に直してもらえ」
というセリフからキャサリンのときのように男の霊がジョージにキャサリンとエディの肉体関係を教えたんだと思う。
男の霊はジョージにジョージ自身を肯定する言葉をかける
お前は悪くない。認められないだけだ。あいつらが悪い。
生前のカルヴィンがカルヴィンの前の家主の幽霊にかけられていた言葉だろう。

まるで主婦の会、夫の会

女性の霊はどうやら歴代の夫人の霊が次にこの家に住む夫人の味方をしているようだ。
そして男性の霊も同じなんじゃないかと思う。

女性の霊は弱者や被害者を守るというよりも夫人に全肯定ささやきをする奥様の味方である感じがする。
同時に男性の霊は悪霊というよりも旦那に全肯定ささやきをする旦那様の味方のようだ。

これはもはや主婦の会、夫の会じゃないか。
1980年の田舎の話だから今と違って夫は働きにでて妻は家の仕事をするのが当たり前の社会
主婦は主婦同志集まって夫の愚痴を言い合って励ましあう編み物教室のような感じ。 (偏見)
主婦は家事をするのを当たり前だと思われる傾向にあるから不満は募るばかりだよね。 (歩み寄り)
夫と違って社会との交流を持ちづらく孤独になりがちな主婦にとっては主婦の会は心強い集まりだ。

夫のほうは狩猟の会みたいなもんかな。
狩りをした後ビールを飲みながら妻の愚痴を言ってから肯定し合う
夫は外に出るから子供からも妻からも頑張ってるとこが見えなくなかなか評価されづらい
さらに子供がお母さんからお父さんの愚痴を聞いていたりしたら、お父さんは悪になってしまうよね。

夫に妻にささやくそれぞれの霊は良い霊悪い霊というよりも単なる同志という感じ。
ジョージは悪霊にそそのかされたわけじゃなくもともと邪悪なんだよね。

ヘビ
ヘビ

キャサリンの台所の夢で排水溝から引きずり出した胎児みたいなやつが
1999年「イグジステンズ」のゲームポッドみたいだったね

カメレオン
カメレオン

アレ胎児だよな
スウェーデンボルグの
「現世と同じものが霊界には存在していて互いに結びついている」
という考えからすると、
あのリアルな夢からしてキャサリンは二人目を妊娠してた可能性あるんじゃないか

ヘビ
ヘビ

なるほど
嫌気がさしてきたジョージの子供という思いが霊界で醜い姿を形成した

カメレオン
カメレオン

それが夢として出てきた

とんでもなく邪悪なジョージ

ジョージ役の俳優ジェームズ・ノートンがすごすぎる。
こんなにも人の神経を逆なでる笑顔を浮かべられる人がいるだろうか
髪型や体型までムカついてくる。

キャサリンを全否定するときのバカにした笑顔
自分語りに酔うときの悦に入った不快な笑顔
慈悲を乞うときの同情を誘えない薄ら笑い

役者の家に石が投げ込まれないか心配だ。

ジョージへの憎悪がすごすぎるせいで周りの人の愚行がかすむ。
忘れちゃいけないのが、
ジョージに嫉妬されてて結局エディと肉体関係持つキャサリンはクズだ。
不誠実で嘘つきと言いながらジョージと肉体関係を持つウィリスもクズだ。

ジョージはコンプレックスの塊のようだ。
自己顕示欲が強く自分の思い描く人生を演じるためには手段を選ばない。
その手段が犯罪じゃなければ行動力のあるなかなか評価できる人物だったかもしれない。

でも自分で自分の足を引っ張ってるんだよね。
急遽田舎に引っ越した理由は前の大学で性被害を訴えられて追放されてるからだった。
ジャスティンにしようとしてた事をいつもしているんだね。

(ジャスティンがドラマ「ベター・コール・ソウル」のキムやんけ! この女優レイ・シーホーンの雰囲気も声も好きです)

下半身に支配されたジョージはせっかくつかんだ理想の暮らしを捨てて家族を巻き込んで田舎に逃げるしかなかった。
そのため推薦状を偽造

そして偽造がバレたためフロイド学部長を殺害
知りすぎたキャサリンを殺害。 (未遂)
簡単にやりすぎだろ。

(フロイドがドラマ「HOMELAND」のダールだ! F・マーリー・エイブラハムいい味出しますなあ)

このことから19歳でセーリング中に溺死した従兄弟のヘンリーというのもジョージがやっている可能性が出てきましたな。

ヘンリーが死んだあとヘンリーのヨットをもらってヘンリーが描いた絵は盗んで自分が描いたものだとした。
ジョージは自分より優れたヘンリーを妬んでいた
手段を選ばないジョージはヘンリーを殺して全てを奪う
日記を盗んだと言っていたから手段を選ばないジョージは日記を改ざんしてヘンリーをゲイに仕立て上げたんじゃないか。
自分より優れた従兄弟のままでいないように

カメレオン
カメレオン

ジョージは是非とも司法で裁かれて欲しかったな

ヘビ
ヘビ

この映画での地獄って日本の考える地獄からするとぬるそうなんだよね

カメレオン
カメレオン

逃げ切った感があるよな

ヘビ
ヘビ

地獄落ちしたってことは
ジョージは次の住人の旦那に全肯定ASMRするのかな

カメレオン
カメレオン

ASMRとか言うなw
ジョージがおっさんの耳元で
「頑張ってえらい♥」
とかささやいてんの想像しただろ

ヘビ
ヘビ

ヴォエ!!

カメレオン
カメレオン

ヴォエ!!


あくまでも個人の感想です。みんなはどう感じたかな?


  • キャサリン・クレア (アマンダ・サイフリッド): ジョージの妻 ジョージと同じ美大出身 在学中に妊娠して結婚
  • ジョージ・クレア (ジェームズ・ノートン): キャサリンの夫 サギノー大学教授 推薦状を偽造
  • フラニー・クレア (アナ・ソフィア・ヘーガー):
  • エディ・ラックス (アレックス・ニューステッター): 使用人 今は叔父のラックス姓を名乗ってる 実はクレア家の前に住んでいたカルヴィン家の長男
  • コール・ラックス (ジャック・ゴア): 使用人 エディの弟 子供の相手がうまい
  • エラ・ヴェイル (エミリー・ドルシュ): エディとコールの母 排気ガスによる無理心中で死亡
  • カルヴィン・ヴェイル: エディとコールの父 排気ガスによる無理心中で死亡
  • フロイド・デビアス (F・マーリー・エイブラハム): サギノー大学学部長 たまに降霊会をやるスウェーデンボルグ信者 妻はミリセント
  • ウィリス・ハウェル (ナタリア・ダイアー): コーネル大学休学中の女 クロウ・ヒル厩舎で働いている女 父は弁護士 エディと恋仲?
  • ジャスティン・ソコロフ (レイ・シーホーン): サギノー大学織物の講師 毎月アルバニーで集まる女性団体に所属している
  • ブラム・ソコロフ (ジェームズ・アーバニアク): ジャスティンの夫 ジョージのテニス仲間 マリファナ愛好家
  • トラヴィス・ロートン (マイケル・オキーフ): 保安官
  • メア・ロートン (カレン・アレン): 保安官の妻
  • ウォーレン博士: ジョージの指導教授だった ジョージに頼まれた推薦状を断っている
  • ヘンリー: 19歳でセーリング中に溺死したジョージの従兄弟
タイトルとURLをコピーしました